羅刹の幻影は囁く (ページ40)

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【38】ページ40

アレン「お前っ、それ以上言いやがったら……！！」

激怒したアレンがその男に手を出す前に、

＿＿ドンッ

ジェイ「うべっ！？」

汚い叫びをあげ、床に突っ伏すジェイ。
目の前にいたアレンと周囲は、ジェイを蹴り飛ばしたAを唖然と見ていた。

Aは汚いものをぬぐうように、靴を床に擦りつけ、頭をガシガシと掻く。

『あー、悪い。足滑った』

もう既に気を失っているジェイに詫びそれた様子もなく言い捨てる。
倒れるジェイの側にすり寄ったリックは、彼の耳から外れたイヤリングを咥えると、Aの方に近づく。
それを受け取り、手でこするように確かめると、持っていた布に包む。

アレン「…お、おい」
『何』
アレン「何って、これ大丈夫なのかよ」
『問題ないだろ、私ここの生徒じゃないし』
アレン「い、いや、だとしても…！」

アレンが焦った様子で食堂の出入り口を見ると、警備員が2人。
人波を避け、あっという間にAの前に。

警備員「君、学生じゃないね。身分証明書は？」
『見せる必要ある？』
警備員「こんな騒ぎをしておいて何言っているんだ！しかもうちの生徒に手を挙げて…」

此方に手を伸ばす警備員の手を、触るなとでも言うように叩き落とす。叩き落とされた警備員はやや怒った様子で声を荒げる。

『私に手を出す暇あるなら、あそこで気絶してる馬鹿を介抱したほうがいいんじゃねぇの？どうせ、その内上から連絡来るんだし』
警備員「は？何を言っている。いいからちょっとこっちに…「お、おい」

Aの肩を掴んだ警備員だが、それを止めるようにもう1人の警備員が割って入った。

警備員2「倒れてる子を優先に、と」
警備員「え？…こ、この子は？」
警備員2「い、いや拘束する必要もないって」
『早くしろよ、ノロマ』

棘しかない言葉を吐き捨てるAに警備員は苛立った様子だったが、上からの命令ではあるのか気絶するジェイの方に駆け寄っていった。