羅刹の幻影は囁く (ページ4)

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【2】＿＿BAE SIDE ページ4

辺り一面シンとなる中、ひったくり犯を空に舞わせた人物は、駆け寄ってきた女性の方に荷物を渡す。

『どうぞ』
女「あ、ありがとうございます！」

お礼を言われた人物はもう興味なさげに伸びるひったくり犯を見下ろし、その女性の脇を通り、道端に止めていたバイクに近づく。

警官「あ、ちょっと君！」
『…なに？』

駆け寄った警官の１人がひったくり犯を抑える中、もう1人はその人物に近づいた。

警官「止めてくれた事、お礼を言います。ありがとうございます」
『別に、邪魔だったから』

煩わしそうにそう呟き、警官が何か話している間も、ヘルメットを被る。
仕舞いには『もういいだろ』と突き放し、バイクに跨る。

『ソレ、適当に処理しておけば』

ソレ、とひったくり犯を顎で示すと、そのままエンジンをつけ、去っていった。
その様子を遠巻きで見ていたアレン達は少々物珍し気に見ていた。

アン「なんか映画みたいだったね」
アレン「アイツ、ひったくり犯捕まえたけど…」
夏準「感じ悪いですね。あれは性格がかなり悪いかと」
アレン「……お前が言うか、それ」

やや引いた眼でにこやかな夏準を見るアレンとアン。
声に出していたアレンに対して「何ですか、アレン？聞こえませんよ」と詰め寄ってきたため、慌てて歩き出す。

アレン「ほ、ほら！もういこうぜ！」
アン「誰のせいで遅れたと思ってんの」
夏準「全くです。そのうえ、人の性格を悪いとは」
アン「…ま、それに関しちゃ否定できないけどね」
夏準「アン？」
アン「やだ、こわーい」

キャハッと甲高い声を出し、速足になるアン。
逃げる２人に溜息を吐きつつ、夏準は２人の後を追いかけた。