羅刹の幻影は囁く (ページ21)

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【19】＿＿BAE SIDE ページ21

リックを抱え上げたAは、BAEの存在に内心「げっ」としつつ、絡まれないうちにサッと歩き出す。

アレン「あいつ、この間、CLUBにいた…」
アン「あぁ、確か彫金師だっけ？ねぇ、夏準……あれ？」

いつの間にか隣にいたはずの夏準がいない事に気付き、驚愕するアンとアレン。ハッとAの方を振り返ると、夏準が隣を歩き、何かしゃべりかけていた。

夏準「もし、少しいいですか？」

『忙しいんで』

夏準「この学園の生徒でもないのに、どうして急いでいるんですか？あなたこの間clubにいた彫金師さんでしょう？少しお話良いですか？」

『仕事中ですので』

夏準「じゃあ仕事の話です。ファントメタルについてのお話を伺いたくて」

夏準の言うファントメタルに反応し、ピタリと足を止め、ウザったそうに夏準を睨み上げる。

『手短に』

夏準「この間、アレンのメタルを汚れていると言っていたでしょう？貴女のお陰で、恥ずかしくない幻影をアレンが行うことが出来ました。ありがとうございます」

アレン「お、おい！夏準！」

『お礼言うために止めたの？』

夏準「いえ、貴方が言ったように腕のいい彫金師にメンテナンスを頼もうと思って」

『生憎、紹介制とか知り合いじゃなきゃメンテしない』

アッサリと言い放つと、懐から一枚の紙のようなものを取り出し、夏準に渡す。

『そこに書かれている彫金師は、私の中でも腕がいい奴等だ。そこから適当に選べ。今の時期だったら恐らくまだ予約は埋まってない筈だ』

間髪入れずそう言うと、さっさと校舎の方へ歩いて行った。