羅刹の幻影は囁く (ページ45)

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【43】＿＿cozmez＆悪漢奴等 SIDE ページ45

依織「…………ほい、おーきに！できてるで～」
珂波汰「……どうも」

珂波汰が手渡した書類を見て頷き、満面の笑みを浮かべる依織。それに対して珂波汰の反応はかなり薄い。冷たいやっちゃな～と呟き、引き出しから茶封筒を取り出し、珂波汰に渡す。

依織「おい、今回の分な」
珂波汰「うっす」

その茶封筒を受け取り、中身に誤りがないか確認する。
確認が終わると、「あざっした」と短く告げ、部屋から出ようとするが、そんな彼を引きとめる依織。

依織「そないに急いで帰る事ないやろ～」

珂波汰「もう仕事は終わったんだからどーだっていいでしょ。次の仕事があるんっすから」

依織「……次の仕事って、だれの？」

珂波汰「誰でもいいでしょ。いう必要ないし」

依織「ないんやけどさぁ、もしかしてそれ……Aちゃんからの仕事？」

依織の言葉に一瞬眉を寄せるが、すぐにさっと視線を逸らす。
それを見て喉奥でクククッと笑う依織。

依織「まぁ、あの子が出す仕事は俺の出すもんと違って楽なうえに給金高いからなー」
珂波汰「……何っすか」
依織「いやぁ、あの子が随分とお前等に入れ込んどるから、ちょーっとヤキモチ妬いてもうてな」

内心、「キショッ」と思いながら、「んなことないっす」と言い捨てる珂波汰。
ふと珂波汰の脳裏に、いつも仕事内容を渡してくる時と、仕事終わりに暖かい弁当をくれる時のAが浮かんだ。

珂波汰(……言われてみれば、仕事時間も短いし、楽だし、何より給料高ぇ。他のスラムの奴にもそういう仕事ふってるの見たことあるけど…弁当とか渡してんのは俺だけだし、那由汰の事だって……なんだって俺らにそんな)

依織「あの子の事、気に入っとるん？」

珂波汰「はぁ？」

依織の言葉に素っ頓狂な声を出す珂波汰。
ハハハと笑う依織に対して怒りがわくが、仕事相手の為、イライラを収める。