【tn】指輪 ページ24
辺りは赤く綺麗な城の装飾に似合わないツンとした生臭さが漂う。顔を歪めるがそれは臭いに対してではない。
「なんで…」
『あら、トドメを刺さないの？』
目の前の女は手にナイフを持ち腹部からは血が出ているが余裕そうに笑いペタンと床に座っている。彼女は幹部…いや、"元"幹部と言った方がいいだろう。
彼女は___
『せっかくエミさんやマンちゃんたち指揮系統を麻痺ませる所までいったのに残念』
裏切り者だ
「裏切ったんか」
『まぁそうね。安心して、2人とも殺してはないわ』
首元に剣を突きつけてもニヤリと笑うだけの彼女に胸が締め付けられる。今まで過ごして見てきた笑顔とは別物で、いつもと違う少し大人びた口調といい自分の知っている彼女はもう居ないのだと嫌でも理解した。
「あの時皆で誓った事も全部、嘘やったんやな」
『えぇ、残念ながら。あのお揃いの指輪も鬱陶しくて仕方がなかったわ』
今は嵌められていない指輪。指輪というのは幹部になった者全員に証として指輪が贈られたものだ。あんなに嬉しそうに嬉しそうに着けていたのに、あんなに指輪を見つめていたのに、それすらも嘘だったというのか。信じられなくて剣を持つ手が震える。
だって、俺は知っている。あいつが今回の戦争でも左の人差し指につけた指輪に唇を落としていた事を____
「……嘘つき」
『なんとでも言えばいいわ。あんなうるさい奴らとおさらば出来ると思うと清々する』
本当に彼女は俺らを煩わしいと思っていたのだろうか。やはり信じられないがもう、終わらせないとだろう。
「最後に、言い残すことはあるか？」
言わないでくれ。言ってしまったら俺は、俺はこの剣を、
『そうね…じゃあ、』
振り下ろしたくなんかないのに___。
『大嫌いよ、みんな』
ボトッと音をたて落ちたものは憎たらしいほど綺麗に微笑んでおり、優しく持ち上げ頬を撫でる。すると、彼女の首あたりにキラリとチェーンが光るのが見えた。
「こ、れ…」
それをすくい上げるとそのチェーンには先程鬱陶しいと言っていた指輪が繋がっていた。
続く
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茶 - コメント失礼します。 こちらの作品の話ではなく大変恐縮ですが、お二人の総合日記、とても素敵な作品でした！可能でしたら、またどこかで読む機会があればなと思います。是非お伝えしたくてこちらにコメントしました。長々とすみません。 (2022年4月27日 23時) (
レス) id: 46a55a84d9 (このIDを非表示/違反報告)
スコーン(プロフ) - ミサキ@さん» 触発されてしまいました…笑 (2021年6月14日 14時) (レス) id: ad0fb54ac1 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ@(プロフ) - rbrさんのやつついったーのやつやぁん (2021年6月14日 10時) (レス) id: 9c2cfec67d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スコーン | 作成日時：2021年5月22日 19時
