にじゅうはちわ 【２８話】 ページ30
虎太郎side
走っていた。
理由はあいつが言った発言だ。
雛はあいつが好きだったのに、
それに好きと言ったのに、よりにもよって返した言葉が「慰めてくれなくて大丈夫ですよ」だなんて。
俺は一目散にあいつを追いかけていた。
そして胸倉を掴み、怒りのままに叫んでいた。
「お前！雛を...」
「え？」
あいつは芝居なんかじゃなく本当にきょとんとした顔で声を出した。
一足早く昇降口から出ていたから雛の涙に気づかなかったのだ。
それに気づくと溢れそうな感情をグッと抑えて胸倉を掴んでいた手を離した。
「本気か冗談か、そんな事もわかんないのかよ。」
「よく話が見えないんだけど...。君は瀬戸口さんの事が好きなの？」
図星だった。
それがなんだか悔しくて俺は思い切り目をそらす。
その間にあいつは校門へ向かって歩き出していた。
追いかけるかどうか悩んでいるとクルリとあいつが振り返る。
「君は、後悔しないようにね」
あいつにも何かあったのかも知れない。
あいつの少し赤くなった目を細めて寂しそうに笑う顔を見てそう思った。
俺はさっきいた昇降口の前へ戻ると少し戸惑いながら下駄箱の前へしゃがみ込んでいた雛に話しかける。
「帰るぞ」
俺はそれだけ言った。
それだけで充分だと思ったからだ。
案の定泣いている雛を見ても、いつもみたいにからかってやろうなんて気は起きなかった。
それから２人で並んで家に帰ったが
帰る途中俺らは何も喋らなかった。
お互いの存在を腕を伸ばせば触れられる距離に感じながら。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白い悪魔(プロフ) - Lさん» はい！更新頑張ります！ (2019年3月14日 19時) (
レス) id: 87fddef293 (このIDを非表示/違反報告)
L - 最近見つけて読み始めました！自分、ゆっきー大好きなんで、ぜひぜひ幸せにしてあげてください！これからもよろしくお願いします！ (2019年3月9日 10時) (レス) id: 6264bb445c (このIDを非表示/違反報告)
白い悪魔(プロフ) - 十六夜さん» はじめまして！長文ありがとうございます！！私も恋雪君には幸せになって欲しいです...(切実)。更新頑張ります！！ (2018年6月10日 22時) (レス) id: 5c009119ee (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - はじめまして！告白予行練習の小説が好きで、その夢小説を探していたらここを見つけました！恋雪くんも幸せになってほしいって思ってます。この夢主も恋雪君にどこか似てますね。だからこそ二人には幸せになってほしいです。更新、頑張って下さい！！！！！！ (2018年6月10日 15時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
白い悪魔(プロフ) - スーナ-suunaさん» 励みになります！ありがとうございます！！これからも頑張ります！！ (2018年4月1日 21時) (レス) id: 3cda70d12b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白い悪魔 | 作成日時：2017年4月21日 20時
