g i f t nine ページ9
Aside
私達を置き去りに西之波さんは「美愛ー！」と呼ばれて友達の方へ行ってしまった。
西之波さんは少し不気味だと思う。
暗い話をしている際でも終始笑顔でいた。
まるですべてを知ってるかのように私に伝えてくる。
もしかしたら希未さんの正体だって知ってるのかもしれない。
そう思ってしまうほどあの笑顔が怖かった。
「A。
美愛さんなんて？」
「あまり首を突っ込まない方がいいって…」
「ふーん。美愛ちゃん何か知ってるのかなぁ？」
少し心配そうにして聞いてきた音羽と
興味が無いような返事の中にどこか好奇心が隠れた発言をする叶。
ポツリと音羽がつぶやく。
「本当に美愛さんは実咲さんが死んで悲しんだのかな？」
「音羽ちゃん？実咲さんは死んでるとは言わないんじゃ…？」
「うん、そうだよ音羽。この場合は行方不明。連れ去られたっていう方が合ってる」
私達の返事に音羽は少し不満そうに答える
「何も2人して言わなくても…。」
「だって死んだなんて不吉な事……」
言ったら本当になる気がして……そういう前に音羽が畳み掛けるように言う。
「それはそうだけど。でも桃香さんもそうじゃん。
短期間、しかも1日も経たずに次の被害者が出るなんて…そんなの……」
「確かにおかしいけど。」
叶がきっぱりと言って「なら…」と音羽が続けようとしたのよりも前に
「まだ生きてるかもしれないじゃん。
なのに憶測で人を殺しちゃダメだよ……」
そう言ってその場の空気が重いものになる。
考えないようにしていたけれど“連れ去られた”だけとは言いきれないんだ。
もしかしたら今この瞬間もあの２人は
暴行を受けているかもしれないし。
本当に死んでしまってるのかもしれない。
「Aちゃん…？
そんなに暗くならないで？」
「そうだよ！ほら、明日宿泊学習あるしね！ 」
「音羽ちゃんの言うとおりだよ！
２人の分まで楽しもうよ！」
２人に励まされ明日の事を考えようにも
やっぱり西之波さんの言葉と、
桃香さんと実咲さんの現状を思うと胸につっかかってモヤモヤする。
「うん……。」
「……Aちゃん…。」
「心配なのは分かるけど、
美愛ちゃんの言うとおり私達にはどうする事も出来ないよ。
いくら事情聴取だなんて、警察の真似事をしても所詮はただの高校１年生なんだから。」
叶のこの宥めるような発言が私の心に重くのしかかった。
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作者名：白い悪魔 | 作成日時：2017年4月16日 7時
