g i f t two ページ2
Aside
私達が教室に戻るとザワザワしていた教室は一気にシーンと静まり返った。
「あれ?ぼく達なんかやった?」
例えば花瓶を割ったとか...扉壊したとか...?
とか呟いている音羽を黙らせる様に
「私の記憶では何もやってない。」
と、音羽に言う。
「っ...び、びっくりしたー!」
「は?」
ある男子生徒が出したその一言、「びっくりした」に釣られて皆の固まりが溶けた。
口々に「なんだ。篠原さんか〜」や、「希未さんが来たのかと思った〜。」「願いを叶えに?w」等という言葉で教室は埋め尽くされた。
意味がわからずに突っ立っているわけにもいかないので私の一番そばに居た女子生徒の方を叩いた。
「ねぇ」
「はっ、はい!な、なんでございましょうか!」
「あ、口調戻していいよ。でさ、その「ノゾミさん」って誰?」
「...希未さんは希望の希に、未練の未って書くんだけど、それはどうでも良くて、ええっと、都市伝説なんだ。」
「都市伝説?」
「昨日この街に出たらしくて。それから凄い勢いでこの噂が広がっていったの。」
「噂の内容は?」
「希未さんは願いを叶える代りに叶え終わった後、魂を食べるらしくて。」
「その魂の行方は?」
「希未さんしか解らないみたい。」
「そんなに思うまで叶えたい願いなんてあるのかな...」
「あるんじゃないかな?ぼくはあるよ?」
「音羽?」
「ん?どうかした?」
「ううん。なんでも...」
今、音羽が音羽じゃない様な気がした...。
見た事ない顔だった...。違和感...。
叶はどこに行ったのかと教室を見回すと、
泣いている女子生徒を慰めていた。
「どうしたの?」
「次はきっと私なんです...。」
その子の顔は青白く、震えていて気分が優れないのは容易に想像できた。
けれど、気分が優れないよりも何かに怯えているという方がしっくりときた。
「希未さんが目を付けるのは夜に二人でいる子なんです...。ッそれで...私が桃香と帰らなければ...ヒック桃香は...!」
「大丈夫だよ。桃香さんは生きてるよ...」
叶は根拠の無い、けれど安心できる言葉を小さな子供に聞かせる様に女子生徒に言っていた。
「なんでそういいきれるんですか...?...あなたが希未さんだから!?それとも遠くで見ていたの!?」
ヒステリックに叫ぶ女子生徒はさっきの弱々しい少女と同一人物なのかを疑うほど違って見えた。
「落ち着いて。大丈夫だから。深呼吸して」
「...すいません」
授業が始まり教室は静まり返った。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白い悪魔 | 作成日時:2017年4月16日 7時