俺達は潔癖症のお前を汚したくて仕方がない

マジで行かないと ページ30

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ



『フゥフゥフゥまずいまずいまずい
これはこれはまずすぎる』



幸村さんがイップスをし始めて


３分もう

ボクの五感のうちの聴覚が駄目になった

駄目になったといっても

聞こえる事は聞こえる

でも、ボクにとっては聞こえないも

同然の事

ボクはまだ少し聞こえる聴覚を捨て

視覚も触覚だけを頼りに

幸村さんから点をむしりとっている

さっきまでは正常だった呼吸もいまや

途切れ途切れになって

ボクの肺は多くの

酸素を取り入れようとするが

口はそれを拒否してるかのように

咳き込んでソレを阻む

脳はもう考えることを止めたようだ



ボクは幸村さんが打ってきた球を

無我夢中で返す



幸村さんはソレに気がついているようで

眉をしたに下ている



あぁ、綺麗な顔が崩れてしまいますよ

だから、笑ってよ

勿論この言葉幸村さんには聞こえない



ボヤァ

ガンｯｯｯ



幸村「夏目!!」


あぁ、そんなに声を張り上げないでよ

耳がもっと使えなくなるじゃない




『！ｯｯあ、ぁ、痛ぃ痛ぃｯ』



目の前がぼやけ

幸村さんが打ったのが

ボクの頭に当たったその時


神の子相手に怯え躊躇してたのが

全てが馬鹿らしくなり




『ふふ、やっぱりそうだよね
マジでやらないと体が持た無いよね!!』




ボクは足元に落ちた球を拾い上げ

渾身の力で打つ


微かな音だけど良い音がして

何か言ってるような声がする



さぁ、さぁ、これからが本番




『ふふ、まだまだ
終わりませんからね
楽しんでくださいよ神の子さん』




あぁ、もうなんとでもなれよ

なんとでもなっちまえ


あぁ、ボクは今どんな


表情をしているだろうね


全く予想がつかないな

でも、これだけは分かる


笑ってる



ホントこれしかわからないから




ﾊﾞﾀﾝ


でも、そろそろ駄目みたいだな


だって、倒れちゃったから

倒れてたらもうプレイ出来ないでしょ？

あぁ、もう足の感覚がないよ

まぁ、しかたいもんね

あんなに走ったんだから

よく頑張ったよく頑張った

偉いよねボク、

倒れるまでプレイしたんだもん

これ以上ないってほど

打った走った叫んだ

五感ももう

使い物にならないってほど使いきったよ

だから、麻痺してるんだろうね

でも、やっとできたよ


ずっと願ってた

こんな風にテニスをしたいってね

だから、心配しないで

あの人がいなくてもやっていけそう

あ、もうそろそろ

この意識ともおさらばみたい


じゃあね、


昔のボク

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