【 R 16 ＋ 1 】

隠す想い ページ28

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結局、熱を測ったら36.8度で。

まだ微熱はあるものの、
自分の回復力と薬の効果に驚いた。






長妻くんの作ってくれたおかゆは、

とっくに冷めていて。




丁寧にラップまでしてあるそれを
わたしが手にとったとき。


突然鳴り響いた着信音。








紫「 ちょ、あ、やば、社長からだ 」






そう言って慌ただしく電話に出た彼は、

数秒黙り込んだ後、「わかりました」なんて。







…… あー、行っちゃうのか



って。すぐ分かった。









わたしの予想は大当たりで、

「ごめん、帰るな」とカバンを持つ。






「 全然大丈夫だよ、来てくれてありがとう 」






わたしの言葉に微笑んだ紫耀は

静かに家を出た。









ひとり残された部屋は、なんだか淋しくて。






…おかしいな。慣れたはずなのに。









いつからこんなに
わがままになったんだろうか。




気持ちを伝えようとしたって



会社の大事な役割を任されている彼に、

「行かないで」なんて。言えるわけない。







「 …… しょっぱあ 」







温め直したおかゆをひとくち口に含むと、

きつい塩っけを感じた。






塩入れすぎだよ長妻くん、なんて
笑いがこぼれる。



それと同時に何かが頬を流れた。






………は、わたし、なんで泣いて…


どうして涙が出るのかは分からなかった。







分かりたくなかった。








いつも優しいだけの紫耀に不安を感じて

たくさんの愛情をくれる長妻くんと、比べてしまう。







ずるい女だと、自分でも思う。








気分だけでも上げようとして
つけたテレビ。







画面の中の人たちの笑顔に

わたしも笑わなきゃ、って。







顔を上にあげて
涙よーーー止まれーーーー！って言い聞かせてみる。






どのくらいそうしていただろうか。


いきなり、騒がしく開けられる扉の音。









目の前には肩で息をしながら、







怜「 ただいま 」







なんて、笑う彼がいた。









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