47話 ページ9
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外に出て多分数分歩いた。何処に向かっているのかもわからなかった。
ただあの場から逃げたかったのかもしれない。
“迷惑だ”と太宰さんの口から直接云われる前にただ逃げたかった。
行く当てもなく歩いていた時、自分のポケットが音を立て振動したのに気づく。
其れを取って画面を見て、目を見開いた。
『中也、さん』
表示に出た名前に携帯を握る力が強くなった気がした。震える手で応答をタップして、そっと耳に当てた。
「もしもし、Aか?
丁度、今仕事がひと段落したところでよ。
どうしてるかと思って電話したんだが、今大丈夫か?」
『ちゅ、やさん……私』
____ 私。自分の
彼の名を呼ぶ声は酷く震えている。
私は何も判らずただ泣くことしか出来ない赤ん坊のようだった。
ただ私の胸を支配していた感情は自分が此処にいていいのか、という疑問と恐怖だけだった。
「……A、今何処だ。」
『探偵社の近くの噴水があるところ、です』
「直ぐに行くから、其処で待ってろ。
動くんじゃねぇぞ!」
中也さんはそう云って通話を切る。
暗くなった画面を見ながら私はズルズルとその場にしゃがみこんだ。
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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時