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68話 ページ32

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体が痛い。血が止まらない。
激痛が走る体からも止まらず光が溢れ続ける。意識が飛びそうな程の痛みが私を容赦なく襲っていた。




だから云ったろうに




また、何処からか声が聞こえた




もう君は死ぬ。なのに何故使う?





『何故?そんなの決まってるじゃない。
______守りたいものがあるからよ』



そう。二人を思い出せば自然と力が湧いてくるのだ。


治、中也。貴方達を守る為ならこの体が如何なろうと構わないって思えちゃうんだよ。


大好きな二人がいてくれるから私は何だって出来る


二人が私の光だから




そうか

だがそれは君だけではないだろう






え?それってどういう意味?





________そう問うた、その時だった。







「お姫様だけに守られていちゃ情けないじゃないか」

「手前が守るんじゃねぇ。
手前は守られるんだよ。俺達にな。」




何処からか声が聞こえたと同時に物凄い力に腕を引っ張られた。




『え?』



「糞太宰!手前にこんな事云いたくねぇが今回ばかりは云ってやる。
_____Aを頼むぞ!!」



「任せなよ、相棒」




下へと投げ飛ばされた体はそのまま誰かの腕に抱きとめられた。
その瞬間、白い異能の光が私を包む。
「異能力《人間失格》」その言葉とともに。




______光が、星が消えていく





私は放心状態のままそっと地面に降ろされた。身体中から血が出ていて痛みが凄かったけれどそんな事今は如何でもよかった。




『何、で…………何で止めたのよ!』



私は目の前にいる治と中也にそう声を荒げた。
だが、今度は中也が私の肩を掴み怒鳴る。



「巫山戯んなよ!手前先刻あんな言葉、まるで最後みてぇに云いやがって。
もう俺は二度と手前を手放したりしねぇ!
_____今度こそ必ず手前を守る。」




優しく強い瞳が私を映す。空からの飛行機の音が耳をつんざく程の音なのに彼の言葉はしっかりと私の耳へと届いた。
その言葉に涙が溢れてくる。守りたいと思っていたのは私だけではなかったのだから。



私の瞳から溢れる涙を中也は指でそっと拭った後、立ち上がり空を見上げる。




「おい、糞太宰。判ってるだろうな?」


「あぁ、判ってるさ。」




中也のその言葉に治は頷く。
それを見た中也は黒手袋を外し地面へと落とした。






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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時

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