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64話 ページ27

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「そう云えばA、異能力を使ってなんともないのかい?」



太宰はなんとか平静を整えてAにそう問うた。Aの体は自分の異能力の負荷に耐えられない筈だった。だが、先程彼女は異能力を使った。だからそう聞いた太宰にAは少し云いにくそうに俯く。



『実はちょっと体が重くて……』


「馬鹿野郎!それならそうと疾く云いやがれ!!」



中也がAの肩を掴み叫んだ。
そんな中也にびっくりしてAは一瞬固まったがなんとか声を出す。



『でも、記憶を取り戻して異能力の使い方も思い出したみたいだから前みたいな激痛は全然ないよ?』


「当たり前ぇだろ!手前に激痛なんか走ってたら今すぐ病院へ運んでるに決まってるだろうが!」


「ちょっと私の耳元で騒がないでくれ給え中也。私、頭から血を流して痛いのだよ。君の声がそのまま頭に響く。」


「五月蝿ぇ!手前のことなんざ知ったことか!」


『ていうか、中也だって手と脚から血が出てるじゃない!中也も治も私より重傷よ!
疾く手当てしなきゃ!!』




Aが騒いでいる二人を制しながら慌てて立ち上がり二人の手を引いた。









___その時だった。




「忌々しい……。これで終わりにして、たまるか」




後ろから聞こえた声に三人が視線を移す。
瓦礫に埋もれて血をダラダラと流しながらゆらりと立ち上がった男。島崎はまだ息をしており荒い呼吸を繰り返しながらニヤリと笑った。





「まだだ、まだ……私の計画は失敗などしていない!!」




そう叫んだ島崎が消えた。転送の異能力を使ったのだ。



「あンの野郎!まだ死んでねぇのかよ!」


「まずいな……。凄く嫌な予感がする」




二人がそう云った時、外から何やら凄い音が聞こえてきた。慌てて三人は外に出てそして、上空を見上げた。




「なっ!!おいおい、ありゃヤベェぞ」



『あの時と、同じ……』





此方に向かってくる飛行機。それは小型であったがその中に積まれている物は恐らく四年前と同じ兵器。




「まさか奴がまだあれを隠し持ってるとはね」




この場を一瞬で吹き飛ばせる威力を持つものが上空より降りてくる。





空を見上げた三人の頭の中を四年前のあの日の光景が支配していたのだった。






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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時

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