41話 ページ3
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ぼやける視界が広がる。
瞬きを数回繰り返してその視界をはっきりさせるが辺りが暗いからか周りがやけにぼんやりして見えた。
(___そうだ、私あのまま寝てしまって)
与謝野さんとナオミさんに寮へ送ってもらい別れてから、そのままソファーでうとうとして寝てしまったのか。
____それにしても今のは夢?
夢にしてはあまりにもはっきりしていた。
もしかしたら、私が忘れてしまった記憶かもしれない。
だが、これ以上思い出すこともできそうにない為寝転がっていた状態から体を起こす。その時、耳のあたりからこそっと何かが落ちた。
『あっ』
中也さんに飾ってもらった花。まだ付けたままだった事に気付き落ちてしまった花をそっと拾う。
『いい匂い』
時間が経っても消えることがない甘い香りに自然と頰が緩んだ。
その花を持って台所へと行き、底が長いコップに水を注ぐ。そして、そのコップにそっと花を入れた。
その時、聞こえた機械音。それはインターホンの音でドアへと向かう。『何方ですか?』とドアに向かって問いかければ「私だ」と太宰さんの声が聞こえた。
ドアを開ければ其処にいたのは声の主通り太宰さんがいた。
こんな時間にきたのだから何か話があるのかと思い立ち話もなんだから部屋へと上がってもらう。
「A、携帯見たかい?」
『えっ。』
急いでソファーの近くに置いてあった携帯を見れば太宰さんから何件も電話が入っていた。
「与謝野先生からAを無事に寮へ送った、と聞いたから心配することもないと思ったのだけれどね。一応電話だけでもしておこうと思ったら電話に出ないから何かあったのかと思ったよ」
『すみません。帰ってきたら直ぐに寝てしまったみたいで……。』
私はもう一度ぺこりと頭を下げると太宰さんは「寝ていたのなら仕方ないさ」と微笑んだ。
「それよりA。随分と可愛い格好をしているね」
太宰さんは私の服装を見てそう云った。
いきなり随分とさらりとそう云った太宰さんに最初思考が追いつかなかったが褒めてくれている事に気付き恥ずかしながらも『ありがとうございます』と御礼をする。
『与謝野さん達が選んで下さって、こういう服着たことないからちょっと恥ずかしいんですけど。
でも、とても気に入りました』
服を選んでくれた与謝野さんとナオミさんに感謝しなくては。
明日もう一度ちゃんと御礼をしよう。
そう思っていれば、ふと太宰さんが私の肩を掴む。
『え?』と思った時には体が傾きそのままソファーへと倒れていた。
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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時