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57話 ページ20

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『貴方達は誰?』




Aのその言葉に太宰と中也は目を見開く。そして、Aの隣にいる島崎だけが不敵に笑っていた。



「Aに何をしたんだい?」




太宰は島崎に問いかける。
冷静さを保った声であったが太宰のその声音は確かに怒りを含んでいた。





「私は彼女を解放してあげたのですよ。
苦しみ続ける彼女から全ての記憶を取り除いてね。」


「取り除く?一体どうやって」


「私の異能はご存知ですか?私の異能力は凡ゆるものを転送できる。例えそれが“記憶”でもね」




つまり島崎は異能力でAから記憶を転送させた。では、一体その転送させた記憶は何処へ行ったのか?太宰はそう考えた。そして島崎を睨む。




「その転送させたAの記憶は君の中にあるのかい?」


「流石は太宰殿。その通りですよ。
全くもって素晴らしい。彼女の記憶は貴方達二人からとても大事にされている記憶ばかりだ。所々断片的に映し出される四年前以前の記憶達も美しい。だが、その記憶が彼女を苦しめる。そう感じた彼女の記憶も一緒に流れてきました。なんと憐れな方達だ」



胸に手を当てそう云う島崎に太宰は「彼女から記憶を奪ったのは本当に彼女を苦しみから解放する為だけかい?」と問い詰めた。



その問いに島崎が太宰を見据える。そして、島崎は先程の笑みを崩した。



「いえ正直申しますとそれだけではありません。彼女から記憶を奪ったのはもう一つ理由がありますよ。」




島崎は一瞬隣に虚ろな目で座るAを見る。





「邪魔なんですよ彼女は。」





淡々と吐き捨てるようにそう云った。




「私の計画は彼女の所為で失敗に終わったのだから。」



島崎のその言葉に太宰は「成る程」と呟いた後、島崎とAを見る。




「四年前のことか」






そう四年前。全てはそこから歯車が狂い出したのだった。









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Kigiri(プロフ) - 詞の選び方一つ一つがとても好きです。新作を心待ちにしています!! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 9b7da1f6da (このIDを非表示/違反報告)
るーりー(プロフ) - とってもおもしろかったです!新作も楽しみにしています! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 015d425faa (このIDを非表示/違反報告)
真緒(プロフ) - ン"ーーーー面白かったです!!!!!!番外編お願いします!!! (2019年5月4日 15時) (レス) id: 290bbc209c (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 沢山ある文ストの夢小説から,たまたま見かけて,面白そうだったから,前作の1話から今作の49話まで全て読みました。面白いと思います。次の50話の展開が気になりますね。今後も更新を楽しみにさせていただきますね(^_^)作者さん,頑張って下さい(^_^) (2019年4月22日 7時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
Kigiri(プロフ) - ほんといつも読んでいてどきどきします!!もう穴が開くほど読み返しました!!((← 応援しています!がんばってください!!!! (2019年4月22日 3時) (レス) id: d36ce0e605 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年4月15日 23時

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