BTSのメンタルサポーター

・【YG】 ページ26

どうせもう居ないだろ。



顔合わせの時に知らされたその部屋は、作業室のフロアの2つ上の階の、一番奥にある。

予想通り、人の気配は全然ない。
多分、日中もそんなに人の出入りが多くないフロアなんだろう。この会社は、そういう面での配慮がやけにしっかりしてるし。



逃げてるわけじゃ、ない。

今だってこうやって、自分から部屋に向かってるし。



·····いや、逃げてる。



"どうせもう居ないだろ"っていうような時間にならないと行けないなんて。

そのくせ、"期限までには一応行った"っていう事実は作ろうとしている。


"行ったんですけど先生がいませんでした"とか、呼び出し食らった中学生かよ。自分でも呆れる。




一番奥の部屋の前まで着いた。
外からだと中の様子は一切見えない。



でも、



····まだ、居るのか。




扉には1枚のカードが貼ってあって、



◇どうぞ入って下さい

◇お話し中です

◇ 今は席を外してます

◇今日はお休みです




の、"どうぞ入って下さい"の所に、赤いマグネットが留めてある。




"どうせ"の気持ちで来たから、これは予想外だ。
急に緊張してきた。



まだ、日付は変わってない。


今入れば、まだセーフなんだよな。




マグネットを"お話し中です"に移動させる。




はぁーーーーー·····




意を決して、俺は扉をノックした。

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