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「 直接おめでとうって言いたかったの 」
「 え〜、じゃあボタンは? 」
「 あの大群から死守できたら褒めてあげようかなーって思っただけ 」
「 じゃあ褒めてよ 」
「 え? 」
少し食い気味にそう言うと、おもむろにポケットからボタンをひとつ取り出す。
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「 あの大群から死守しましたよ!しかも、それ第二ボタン 」
「 は、」
どうよ!ってドヤ顔してくるのはむかつくけど、いまはそんなことより、
「 …なんで、」
「 Aちゃん欲しーかなーと思って 」
「 なにそれ、」
状況がイマイチ読み取れないわたしを他所に、「 でも要らないみたいだしなー 」って、わざとらしく笑うふっかさん。
( 結局ぜんぶお見通しってか… )
「 …なんで、第二ボタンなの? 」
「 んー?Aちゃん、第二ボタンの意味知ってる? 」
知ってるよ、って頷けば、「 じゃあそのままの意味だよ 」なんて、ちょっと真剣な顔して言うの、ほんとに…
「 ふっかさん、ずるい… 」
「 ふは、ずるいってなによ 」
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第二ボタンの意味は、" 1番大切な人 " 。
ふっかさんにとって、わたしはそんな存在なの?
そう聞こうとしたけど、それは何故か言葉にならなくて。
「 ちっちゃいねぇ、Aちゃん 」
耳元から大好きな声が聞こえてきて、ようやく、抱きしめられてることに気づく。
すぐ側でふっかさんの鼓動が聞こえて、気の所為…じゃないと思う。
…ちょっとだけ、早い気がする。
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「 ふっ、かさん…、離して… 」
「 なぁんで? 」
「 なんでって… 」
だんだんと早くなるふっかさんの鼓動に比例するように、わたしの期待もどんどん膨らんでしまうから。
なんて言えるはずもなくて、精一杯の力を込めて、ふっかさんの胸板を押す。
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「 おれね、好きだよ。Aのこと。」
「 …っ、ちょっ、と、まって、急すぎ…っ 」
いい加減言わなきゃ、って思って、ふっかさんのことを引き剥がしたのに、わたしが口を開くよりも先に、ふっかさんの口から飛び出たその言葉。
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作者名:紫紺 | 作成日時:2022年3月19日 0時