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「 Aさんってさぁ、ずるいよね 」
大きな体に包まれたまま、耳元で聞こえる低い声。
当たり前だけど、男の子なんだって改めて感じて、頬に熱が集まるのがわかる。
「 Aさんに余裕があるのが悔しくて、俺も余裕出そうとしても結局勝てないし、好きとかあんま言ってくれないのにこういう時に言うのずるいし、」
ラウの中で何かがプツ、と切れたように、次から次へと止まらない。
( …ていうか、わたし余裕あるように見えてるの？ )
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「 ほんとは寂しいし、そばにいて欲しいし、そばにいたいし 」
「 そんなの、わたしだってそうだよ 」
「 だから、Aさんと同じ進路に進もうかって思ったこともあったけど、だめって言われるのもわかってたし… 」
「 ふふ、よくわかってるじゃん 」
彼の声が震えてるのがわかって、首元に埋まってる彼の頭を優しく撫でる。
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「 Aさん、俺もう子供じゃないよ、」
そう言うと、ゆっくり体を離す。
こんなふうに見つめ合うのは久しぶりで、また彼の目線がかなり高くなっていることに気づく。
絡みあった視線に引き込まれるように、整った顔が近づいてきて、唇が触れる。
なんだか久しぶりなその感覚に、鼻の奥がツンとする。
ゆっくりと離れたラウの目にも、涙が浮かんでいて。
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「 もう子供じゃない、けど、たまには甘えてもいい？ 」
「 ふふ、もちろん。いつでも大歓迎だよ 」
嬉しそうに微笑む彼が愛おしくて、今度はわたしから唇を重ねる。
驚いた顔をして、でもすぐに優しく包み込んでくれる。
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作者名：紫紺 | 作成日時：2022年3月19日 0時
