とある街角のパン屋さんで。 (ページ3)

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3話ページ3

春なのに暗くなるのはこんなにも早い。

たらふく食べたはずなのに、余ったからともらった
紙袋いっぱいに入った出来立てのパンをカゴに入れ
自転車を走らせる。

明日は月曜日。また憂鬱な5日間が始まると思うと気が重かった。

新学期は、仲良しの友達とはクラスは離れテストは悲惨と勢いのないスタートだった。

おまけに、進路希望調査票を配られた日には
早退でもしてどこか遠くに逃げたくなった。

ひんやりとした風が
余計に暗い気持ちにさせる。

空には星が見え始め、夜が近づいてくる。

明日からの学校生活が益々暗くなるのではと
早く家に帰りたくなった。

漕ぐスピードを上げ、遅刻しそうな時に抜け道として使う小学校の裏門に入った。

卒業生がこんなことをして
申し訳ないとは思うけれど、月5回は利用している。

出口である西門に差し掛かった瞬間

『おい！！！』

静まりかえった校庭に響き渡る男性の声。

心臓が強く音を立てると同時にブレーキを強く握ったことでバランスを崩し転倒してしまった。