21話 ムーディー.B�� ページ21
｢関係ない？このチームの話でなぜオレが蚊帳の外になるってんだ｣
ブチャラティさんは怒りというよりは困惑の表情でアバッキオさんを見つめ返した。アバッキオさんは無言でそっぽを向く。
｢あぁ、ブチャラティ、あなたの脅威になるようであれば始末するってことじゃあなあないんですか？たぶんだけれど｣
ジョルノが察しのいい顔をして深く頷く。ジョルノからココアの入ったマグカップを手渡されたが、今の発言のせいで味わえそうもない。
｢…そうなのか？｣
ブチャラティさんがアバッキオさんの顔をのぞき込む。さっきとは違って冷たく低い声だ。ブチャラティさんは怒っている。
｢あぁ、そうだ。でもそれはジョルノだって同じ事だ。勿論、敵にならないなら始末することもねえ｣
｢…始末するとかしないとかいう話じゃあないんだそういう話じゃあ！新入りをいきなり信用しろとは言わねえがお前のその態度は目に余るぞ！｣
｢ブチャラティ、俺はあんたにどう思われようがどうだっていい。あんたもとい組織のために仕事をするまでだ。｣
ブチャラティさんの威圧的な声に圧倒されて硬直する私を横に、それに真っ直ぐ向き合うアバッキオさんはいつもと変わらない声色で話す。
ジョルノはマグカップを丁寧に両手で包んでココアを味わっていた。中々肝の据わった男である。
｢…でも、まあそうだな…お前の能力を明かさせたのに割が合わんだろうからな。仕方ねえ、俺のスタンドの事を少し話してやる。｣
この険悪な雰囲気から話を進めるのか、と私は少し驚いたが、ブチャラティさんもまあそれなら…みたいな顔をしているし、なんなんだこのふわっとした流れは。
｢俺のスタンドの名前は『ムーディー.B(ブルース)』特定の人間、スタンドなんかを体現してリプレイすることができる能力を持っている。｣
簡素な説明、といえばその通りだが、本来スタンド能力など仲間であっても中々教えることなど出来ない。なんだかんだ私のこと信用しているのでは？と口角が上がる。
｢おいA、勘違いしてるのか知らねーが俺がお前にスタンドのことを話したっつーことはお前も俺に打ち明けなきゃならねーっつうことだぜ？｣
アバッキオさんが不敵に笑う。俺はスタンド名まで言ったぞと煽るような声。こいつ…と思ったが私はきちんと仁義ある女である。
｢『ティアーズインヘブン』拳に触れたものの精神を悲しい感情に繋ぎ変える幻覚を見せる能力を持つスタンドです｣
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作者名：invisible Comet | 作成日時：2019年4月8日 16時
