3話 女の新人�� ページ3
私はブチャラティさんに連れられてあるリストランテへ到着する。ここに仲間を待たせているらしい。ブチャラティさんが戻ったことを仲間に言うと、一斉に複数のいろとりどりの目が私に向く。緊張感から汗が出てきそうだ。
｢あっ、あの、新人のAです。どうぞ、よろしく｣
しばし流れる沈黙、あまりの気まづさに俯きかけてしまう。それをブチャラティさんは察したのか、｢お前ら、挨拶くらいしろ！俺が連れてきた新人だぞ｣と言って仲間に紹介を促してくれる。
｢その前にさ、あのさ、お前、女なの？｣
黒髪のバンダナを付けた少年が首を傾げる。
｢見れば…その、わかると思いますけど｣
｢だろうな｣とスーツに所々穴が空いた青年も、私に同意するように頷く。
｢ブチャラティ、このチームに女のガキってどういうことだ｣
銀色長髪の少し大柄な男が、低い声でブチャラティさんを睨みつける。私は恐ろしくて声も出せなかった。
｢女も年齢も関係ないだろう。俺やフーゴもこいつより早くギャングに入ったぞ｣
｢そういう問題じゃあねえ…！こういう世界に引きずり込んじゃならねえだろって話だ｣
｢…もう引きずり込んじまったもんは仕方ねえだろ。俺が決めたことだ｣
もしかして、私が無理にブチャラティさんにチームに加入したいと駄々をこねたからこんな険悪な雰囲気になってしまったのだろうか。いや、もしかしなくてもそうだ。
そう考えたら急に虫の居所が悪くなってしまった。
｢あの、自分の身は自分で守りますし、このチームにも貢献できるよう…｣
｢あたりめえだ！｣
吠えるように長髪の男が言うものだから、腰が引けてしまう。助けを求めるようにブチャラティさんに視線を配る。それを受け取ったらしいブチャラティさんは少し困ったような顔をした。
｢アバッキオ、お前の気持ちも分かる。だがもうこれは決定事項だ。｣
アバッキオ、と呼ばれる彼は頭を抱えてため息を落とす。私はこの場を今すぐ逃げ出したかった。
｢あんたはすぐそうやって…クソ、勝手にやってろ｣
アバッキオは大きな音を立てて立ち上がると、ズカズカとリストランテを出ていってしまった。
決裂、というやつだ。
私は急に罪悪感が湧いてきて(駄々をこねておいてなんだが)消え入りそうな声で｢すみません…｣というしかなかった。
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作者名：invisible Comet | 作成日時：2019年4月8日 16時
