別次元 ページ27
とっさのことで体が動かなかった。栞那が一歩、こちらに踏み込んだだけだと思ってた。
ひ「っう……」
気が付くと栞那は俺の目の前にいた。ガードを取ろうにも栞那の攻撃スピードについて行けず、振り下ろされたクナイが肩からわき腹に抜け、一瞬の冷たさの後に燃えるような痛みが襲った。
後ろに何とか飛びのいて二振り目は何とかかわす。
『ウフフ……驚いたかしら？』
油断していたわけじゃない。
ひ「アンタ…… 何が混じってる」
『さぁ…… もう何がここの中にいるかなんて覚えてないわね。強く……強く楽しければそれでいいの』
そう言いながら栞那は自分の胸にそっとクナイを持っていないほうの手を当てた。怪しげに光る金色の瞳はどこか物憂げに伏せられていた。
ひ「それが人でなくなったとしても？」
栞那の瞳が見開かれ、血の文様が鈍くしかし強い光を放つ。
『関係無いわ！』
再び栞那が高速でこちらに飛び込んでくる。しかし今度は何とか目で追い、クナイを防ぐ。耳障りな金属音と共に路地の暗がりに火花が散った。
ひ「さすが、飛び姫と言われることはあるね。動きが速い」
『お褒めにあずかり光栄だわ。外道、復讐鬼ひとらんらん』
怒涛のような栞那の繰り出す連激を防ぎきると、彼女は後ろに距離を取った。恭しく、そしてわざとらしく礼をした栞那に俺は切っ先を向けたまま向き直った。
ひ「一つ聞きたい。なんでイフリートまで傷つけた」
『イフリート？…… あぁ、狼ね。あれは事故ね、かわいそうなことをしたわ。兵士と遊んでいる時に矢で応戦したんだけど、その兵士の撃った矢が馬小屋のほうに飛んで行ってね？馬に刺さりそうになったのを、横っ飛びで狼が代わりに受けたのよ』
ひ「証拠は？」
『無いわね。でも言っておくと私が興味あるのは人間との戦いだけ。それに私自身動物は好きよ？彼らは醜い人間と違って純粋無垢だもの』
フッとりきみが取れた気がした。ずっとイフリートのことが頭にあって冷静さを欠いたせいかも知れない。敵を前にしたら無駄口は叩かないほうがいいと昔の偉い人が言っていた気がしたが、話すほうが俺の性に合っている。
無駄なりきみの取れた体は今よりも早く動けるはずだ。
ひ「そうか、なるほど」
『じゃあ、二回戦と行きましょう！』
再び始まる栞那の連激を防ぎながら、俺はある方向へとジリジリ移動を始めた。
そこでは獲物を今か今かと待っている狂犬二匹がいるはずだからだ。
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熊野影(プロフ) - のりたまさん» ご指摘ありがとうございます！早急に直させていただきます！ (2019年9月12日 23時) (
レス) id: 0bac161a03 (このIDを非表示/違反報告)
のりたま(プロフ) - 宵の宴 のページの最初の綺麗なスターリンの部分。元の名前がリンちゃんなので名前変換させるとスター(名前)になってますよ！ (2019年9月12日 22時) (レス) id: dfae553a09 (このIDを非表示/違反報告)
月輪雫(プロフ) - ベル子さん» ありますよねー！これからも頑張って有能ショッピ君とか他のメンバーも書けるように精進して行こうと思います┏○ﾍﾟｺ (2018年9月3日 2時) (レス) id: 0bac161a03 (このIDを非表示/違反報告)
ベル子(プロフ) - 月輪雫さん» はい！全然！！やはり、しょっぴくんは有能ってイメージありすよね。 (2018年9月3日 2時) (レス) id: c193797e68 (このIDを非表示/違反報告)
月輪雫(プロフ) - ベル子さん» コメントありがとうございます！ショッピ君はすごく有能な後輩ってイメージだったんで……有能さが書けてればいいなと思って書きました！大丈夫だったでしょうか……？ (2018年9月3日 1時) (レス) id: 38ce602a15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：熊野影 | 作者ホームページ：http://nーー
作成日時：2018年6月15日 1時
