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．
「じゃあ、この間のはなんだったんだよ」
「…え」
「恋かな、っつってたじゃん」
「あれはー、そのー」
「…まだ、ひみつー！」
にーって笑う雅紀。
一体なんなんだ。
「え、ていうか翔ちゃん」
「俺がAのことを好きだって思った上で、俺にがんばれ、っていったの？」
「え…まあ」
「翔ちゃん…頭いいのに、やっぱ抜けてるよね？」
「…え」
「相手が誰であろうと、好きな人を相手に譲ろうとか思っちゃだめでしょ！」
「雅紀…」
「いい？恋は戦争なんだからね！」
「Aなんか可愛いから、すぐ誰かに取られちゃうよ！」って。
「…うん、わかった」
雅紀の顔が一瞬…泣きそうに見えたのは、気のせい？
…ありがとう、雅紀。
俺は、心の中で呟いた。
．
「えー！ほんとにーー！？」
「…うん(笑)」
昨日のことを華に言ったら、ものすごく驚かれた。
「きゃーー！おめでとーう！！」
「わ！」
華が、思いっきり抱きついてきた。
「…ふふ、ありがとね、華」
私が言うと
「本当によかったぁぁぁ(泣)」
「え、ちょっと、泣かないで(笑)」
「だってぇぇぇ(泣)」
「(笑)」
ほんとに優しいなあ、華は。
「あー！またイチャイチャしてるー！！」
声が聞こえた方をふりむくと
雅紀と、櫻井くんが教室に入ってきたところだった。
「ダメだよチカちゃん！Aにギューしていいのは翔ちゃんだけなんだから！」
雅紀が大声で言って、カァーっと顔が熱くなる。
「ば、バカ！何言ってるのよ！」
どんな顔をしてるんだろ、って気になって、恐る恐る振り返ると
口を尖らせて、斜め上を見上げてる、櫻井くん。
…ちょっと耳が赤く見えるのは、気のせい？
「授業始めるから、席に着いて〜」
大野先生が教室に入ってきて、急いで席に着く。
うちのクラスは、席替えがない。
理由は、大野先生いわく「毎月毎月席が変わるなんて落ち着かない」から。
だから、9月になった今でも、席は4月のまま。
新鮮味がない、ってクラスの子たちはブーブー言ってるけど、私は。
「…先生、寝癖すごくね？(笑)」
隣が、櫻井くんだから。
毎日が、新鮮で。
毎日が、ドキドキで。
「…寝坊かな(笑)」
でも今日は特に
告白されて、付き合い始めてから、初めての学校。
「…あ…教科書わすれた…」
「…ごめん、櫻井く、」
「翔」
…え…
「…翔で、いいよ」
私たちの日々は
まだ、始まったばかり。
．
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
