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そんな感じで始まった高校生活だから
恋とか両想いとか、そういうのに
期待も何も、してなかった。
友だちとつるんで、バカやって
ただただ楽しく、高校生やってれば良いじゃん、なんて。
でも、彼女を忘れられなかったのも、事実で。
気がついたら、通学路の桜の写真を撮るのが、日課になってた。
そんなことしたって、彼女が振り向いてくれるわけないのに。
だけど、ある日
そんな俺に、転機が。
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「みんな〜席について〜」
あっぶな！ギリギリセーフ！
先生の声と同時に教室に駆け込んだ。
えっと、俺の席…あそこか。
一番後ろの席とか、ついてる、俺。
荷物の整理をし終わって
ふと窓の外を見ると、大きな桜の木。
あんなに大嫌いだった桜を
無意識にきれい、と思った自分に、驚く。
隣の席を見ると
俺と同じように窓の外を見てる、女子。
髪が邪魔で顔は見えないけど。
この人も桜を見てるのかな？
普段は人見知りな俺が、
なぜか話してみたくなった。
「桜、好き？」
え…
嘘でしょ…
振り向いた、その人は
「A、さん…」
また心臓が、ドクン、と鳴った。
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ていうか俺！
思わず Aさん、って言っちゃった！
まだひとことも話したことないのに！
「え、っと…突然ごめん、驚いた、よね？」
「こちらこそ、ごめんなさい！」
「え？」
何が、ごめん？
謝るのは、俺でしょ？
混乱してたら、
「あの、好きです」
……え、っと…
え、ちょっと待って、え？
「 桜 」
……びっ…くりした…！
そうだよ、俺が聞いたんじゃん。
何を期待したんだよ、俺。
ほら、ちょっと不安な顔させちゃったじゃん。
「あ…あぁ！うん、俺も好き」
俺のバカ！
俺が桜を好きかどうかなんて聞いてないだろ！
だけど彼女は、
少し安心したように笑って。
「あの、私…早坂A、です」
あ、そっか
俺が一方的に彼女を知ってるだけで
彼女は俺と、初対面なんだ。
「あ、えっと…櫻井翔、です」
これからどうなる、俺の高校生活。
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
