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．
「…え！わたし！？」
「早く！」
「よ、よっしゃ！行くわよー！」
華が、差し出された櫻井くんの手を握って、2人が走っていく。
紙になにが書かれていたのかは分からないけど、2人が手を繋いでいるのを見るだけで、ちょっとモヤモヤ。
すると。
「A！」
名前を呼ばれた方向を見ると
「…雅紀」
雅紀が息を切らして、応援席の前に立っていた。
「…早く！いっしょに来て！」
状況を掴めないまま、急いで雅紀の元に向かうと
「しっかり握ってて！ぶっ飛ばすからねー！」
小学生の頃以来繋いでいなかった雅紀の手は、いつの間にか大きくて、頼もしくなっていて。
風を切るように走る雅紀に、着いていくのが精一杯で。置いていかれないように、一生懸命走った。
「ちくしょー、負けたー！」
結局、雅紀と私は2位で、見事1位を勝ち取ったのは櫻井くんと華だった。
「ごめんね、私のせいで」
きっと雅紀1人だったら、断トツだったのに。
「いいのいいの！Aと一緒に走れて楽しかったから！」
にこーって笑ってくれる、雅紀。
「ほんとに優しいなあ、雅紀は」
「えー？(笑)」
「あ、そういえば、なんて書いてあったの？紙に」
「…え？ああ！えっとねー…」
雅紀が紙に書いてあった文字を読みあげようとした、その時。
「おおーっと！1位の櫻井くん！！何とお題は『好きな人』だー！！」
…え、
「どうですかー？好きな人と勝ち取った1位はー！」
「え…や、その…」
…好きな、人…
「…A、だいじょ、」
「ごめ、」
私は気がついたら、走り出してた。
．
教室から、窓の外を眺める。
遠くから、体育祭の歓声の余韻が、聞こえてくる。
「…あ、いた」
…え
「体育祭、もう終わったよ？」
ふわ、って笑いながら優しく話しかけてくる。
「…どうして先生、来たんですか」
振り向くと、
「相葉ちゃんがね、心配してた」
雅紀が…
．
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
