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櫻井くんの説明は、すごくわかりやすくて。
私が1人じゃ解けなかった問題を、スラスラ解く姿が、かっこよくて。
「…で、ここを二乗して…」
下を向いてる櫻井くんの、まつ毛越しに見える目が、なんだか色っぽくて、ドキドキ。
「…早坂さん、聞いてる？(笑)」
…櫻井くんに、顔をのぞき込まれた！
「ご、ごめん、聞いてます！」
「ふは、ちょっと休憩しようか」
「う、うん！」
櫻井くんが、椅子の背もたれにもたれて、ぐーっと背伸びをする。
その姿さえも、かっこいい、なんて。
「チカちゃんせんせー！俺たちも休憩しようよー！」
「だーめ！相葉くん、まだ1問も解けてないでしょ！」
「ううーー、だってチカちゃん怖いんだも、」
「なんだって？！」
ふふ、2人とも、おかしい(笑)
2人を眺めてたら、
「あー！そろそろ花火大会行かないとじゃない？！」
雅紀が言って、
「わ、ほんとだ！準備しなきゃ！」
華が立ち上がった。
「雅紀、上手く逃げたな(笑)」
「ふふ、ほんと(笑)」
*
「女子チームはお色直しするから、男子は出てった出てった！」
って、華に家から追い出された俺たち。
もうすぐ夏が終わると言っても、まだ外は暑くて。
「どれくらいかかるかなー」
「…あ、うん」
…なんだ？
雅紀の元気がないように見える。
「どうした？」
「え？」
「元気ないじゃん」
すると、雅紀は黙って。
かと思ったら、
「…オレ、なんか最近、変なんだよね」
「…変？」
「見ただけで、胸がきゅーってする子がいてさ」
「……」
「前までは、全然そんなこと感じたこともなかったのに」
ドキ、っとした。
もしかして、やっぱり、早坂さんのこと…
「これって、恋なのかな」
…そうじゃないかな、とは思ってた。
俺も、最初付き合ってるんだと思い込んだくらい、2人は仲良かったし。
男女の友情なんか、成立する方がまれだってことも分かってるから。
でも、そうだとしたら、俺の入る隙がないことは明白で。
「…いいんじゃない？相手も雅紀のこと、好きだと思うし」
…これで、いいんだ。
俺が気持ちを表に出さなければ、きっと2人は上手くいく。
「…ほんと？いいの？」
「…うん、頑張れよ」
夏の終わりに
俺の恋も、終わりを告げる、音がした。
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
