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終業式の日。
誰もいない放課後の教室で、窓から見える桜の木を眺める。
高校３年生の1学期は、あっという間に過ぎた。
櫻井くんや華と、仲良くなって。
雅紀とも、相変わらずで。
残された高校生活が、もう3分の1も無いということに寂しさを感じたり。
それと同時に、残りの時間でたくさんの思い出を作ることに、ワクワクしたり。
……ときどき、先の見えない未来を、不安に感じたり。
たぶん夏休みが明けたら、着々と受験への準備が進んで。
本格的に、クラスも、ピリピリしてくる頃。
これからわたしたちは、どんな道を歩むんだろう。
受験、上手くいってほしいけど
もし未来のわたしが、涙を流していたら、どうしよう。
そんなこと、考えてもどうしようもないのに。
今できることは、ただただ頑張ることだけだと、分かっているのに。
…それでも、どうしようもない不安に押しつぶされそうになる。
窓から見えるオレンジに照らされた桜の木が、凛々しくて、なんだか涙が出そうになった。
「ん、あれ…A？」
声がした方を振り向くと
「先生…」
担任の、大野先生。
先生は、女子生徒に人気の先生。
かわいいって評判。
「なにやってんの、こんな時間に」
先生が、教室に入ってくる。
「…なんでもありません」
「ふーん」
ちら、って横目で私の顔を見た。
大野先生と目が合うと、心の中を見透かされそうで、なんとなく目を逸らしてしまう。
「先生こそ、どうしたんですか」
「オレは忘れ物ー……あったあった、よかったー」
教卓の上にあった学級日誌をきゅ、って掴んで
ふにゃ、と笑う。
すると先生は、窓際に立つ私のところに歩いてきて
「なにが、心配？」
…ほら、ばれた
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
