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．
…華…
「…あの、ね…私、翔に謝らなきゃいけない」
走って追いかけてきたらしい華は、息を切らしながら話し始めた。
「…あの日、桜の木の下で待ってくれてたのに、ごめんね。翔の気持ち、無視してごめんね」
「…華」
涙をボロボロ流しながら、声を震わす華。
「…本当は、怖かったの…翔との関係が、壊れちゃうのが」
「…わがままかもしれないけど…自分勝手だと思うけど…」
「…また前みたいに、翔と仲良くしたい…」
" 前みたいに "
これが、華の出した答えだ。
「…うん、俺もだよ、華」
華は、驚いたように俺の顔を見上げて、
「…お前、泣きすぎだろ(笑)」
「…だ、って…だって…」
俺たちはその日、6年越しに自分の気待ちを打ち明け合った。
でも、だからといってお互い、2人の関係が変わることを望むわけでもなく、それを口に出すこともなかった。
．
「…しょ、翔ちゃん！」
翌日。
俺が学校に着くと、雅紀が靴箱で待ち伏せしてた。
「…あの、たとえばなんだけどさ、昨日…彼女ができちゃったりとか…」
…突然何を言い出すんだ、こいつは。
「は？(笑)」
「…いや、ほら、夏ってそーいう季節じゃん！？1日1日が恋の予感！みたいな！」
「…お前、もしかして」
「ええ！？してないよ！チカちゃんと！話なんて！」
「…したんだな…」
昨日のは、コイツの策略だったのか…
「…だ、だって！2人とも！元気なかっ、」
「できてないよ」
「…え、」
「彼女、できてない」
俺の言葉に、雅紀がなんとなくホッとしたような、ショックを受けたような、複雑な顔をした。
「…あ…そう、なんだ」
なんだこいつ、変なの
…てか、もしかして
いやいや、まさか、それは。
…でも、俺の恋バナにこんな顔するってことは、もしかして…
「お前…俺のこと、好きだったり…？」
恐る恐る言うと、雅紀が目を見開いて、
「！！」
え、待てよ、マジなのかよ！！
「…俺、思うんだけど…」
「…やっぱ翔ちゃん、そっち系…？」
……だから…
「ちげえっつってんだろ！！！」
．
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
