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「A、ほんとに1人で大丈夫？オレも行こっか？」
翌日。
私は華のとこへ向かおうとしていた。
「大丈夫だよ(笑)それに華も、女同士の方が話しやすいと思うし」
心配そうに私を見つめる雅紀。
「じゃあ、行ってくる」
笑顔で手を振ると
「…がんばってね！」
雅紀が、笑顔で手を振り返してくれた。
．
「…え？」
「ちょっと話したいんだけど、時間あるかな？」
華が、目を閉じて一呼吸。
静かに目を開けて、
「うん、大丈夫だよ」
.
「…華、中学受験したって、本当？」
誰もいない放課後の教室で、話を切り出す。
「エスカレーターでそのまま進学できたんだよね？どうして…この高校に…」
最後まで聞こうとしたけど、声が出なかった。
窓際に立って外を眺めている華が、オレンジ色の空に、吸い込まれそうで。
「華、ごめんね…雅紀から、話を聞いちゃったの…その、2人に何があったか」
私が言うと、華がゆっくり、こっちに向き直った。
「…ううん、いつかは分かることだもん、気にしないで」
笑ってるような、困ってるような、複雑な表情。
「本当に聞きたいのは、私がなぜここに来たか、じゃないでしょう？」
…心臓をキュ、って掴まれたような気がした。
「…単刀直入に言うね、櫻井くんのことなんだけど」
「…うん」
「小学生のとき、櫻井くんのことを振ったって、」
「振ってないよ」
…え、
「私は翔のこと、振ってなんかないよ」
華が、真っ直ぐな目をして、言う。
「…でも、桜の木の下、行かなかったんでしょう？」
「それは…」
華が、答えづらそうに下を向いた。
「そうだよね…あんなの、振ったのと同じだよね」
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
