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「…これが、俺の失恋物語」
重苦しい雰囲気が嫌で、ちょっとおどけて言った。
「…そんなことが…」
「俺、どっかで自信があったんだよな。ずっと華と一緒にいたし、華もきっと、俺のことを好きでいてくれてるって」
「…」
「でも違った。好きだと思ってたのは、俺だけだったんだよ、結局」
「…翔ちゃん」
「笑っちゃうよな。マジかっこわりい、俺」
「笑わないし、カッコ悪くもないよ！」
…え
「一生懸命、想いを伝えようとしたんでしょ？めっちゃかっこいいじゃん、翔ちゃん！」
「…雅紀」
「そんなふうに、自分で自分を傷つけちゃダメだよ！」
……雅紀…お前、
「なんでお前が泣いてんだよ(笑)」
俺の目の前で、グズグズ涙を流してる雅紀。
「グズ…だって……グズ…翔ちゃ〜〜ん！！」
「っ！！おい！」
雅紀が、俺に抱きついてきた。
「…ったく(笑)これで拭けよ」
「あﾞりﾞかﾞとﾞうﾞ〜〜〜」
雅紀のおかげで、心がだいぶ軽くなった。
「…ありがとうはこっちだっつーの(笑)」
．
「…櫻井くんと華に、そんなことが…」
「うん…翔ちゃん笑ってたけど、多分相当ショックだったと思う」
「でも、どうして華は櫻井くんのとこに行かなかったのかな…」
…きっと華は、人の気持ちを無視するような子じゃない。なにか理由があったはず。
「櫻井くんと華、絶対話した方がいいと思う」
私が言うと、雅紀が驚いた顔をした。
「…でもA、いいの…？もしかしたら……その…」
雅紀が言おうとしてることはわかる。
正直不安だけど、でも。
「大丈夫だよ(笑)櫻井くんと華が幸せなら、それだけで……あれ、」
笑って言ったつもりだけど
頬を、温かいものが流れるのがわかった。
「A…」
雅紀の声に、
「いや、これは、ちが…」
言い訳をしようとしたら
ぎゅ、って暖かいものに包まれた。
「…ばかだなあ、ほんと」
「……まさ、き…」
雅紀の優しさが身に染みて、心がぽかぽか温かくなる。
「…A？」
「もし翔ちゃんたちが、その…どうにかなったときは…オレが……」
「…え？」
雅紀の顔を見上げると、
「…オレが、またりんごジュース買ったげるから」
雅紀が、「ほら、泣きやめ〜(笑)」ってぽんぽん、頭をたたいてくれる。
「ふふ、なにそれ(笑)」
…でも
「ありがとう、雅紀」
「ほんとに、ありがとう」
雅紀の胸に顔を埋めながら、私はそう呟いた。
．
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
