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「Aー、ほら、元気だして！」
「え…ありがと」
雅紀が、帰り道の自販機でりんごジュースを買ってくれた。
「翔ちゃんもさー、気が変わるかもしれないじゃん？きっと大丈夫だよ」
櫻井くん…
華と、何かあったのかな
2人ともおかしかったもん
「櫻井くんもしかして…華のこと好き、とか」
「えー？」
「考えすぎだよー」って笑う雅紀。
「話すのも久しぶりって言ってたじゃん、チカちゃん」
「でも、2人ともなんかおかしかった…」
「んもー、しょうがないなあ。オレが聞いといたげるよ、男同士なら話せると思うし」
「ね！だから元気だして！」って、私の頭をわしわし撫でる雅紀。
ほんと、優しいな。
「…いつも、ごめんね、雅紀」
「こらー謝らないの！ありがと、でしょ？」
「ふふ、ありがと」
私が笑うと、雅紀もホッとしたように笑って。
「も〜！Aにこんな顔させる翔ちゃん、許さなーい！」
「今度Aを悲しませたら、翔ちゃんのことボッコボコにしてやるからなー！」
星空を見上げながら、笑って叫ぶ雅紀。
「ちょっと、ボコボコはだめだよ(笑)」
…でも、ありがとう。
心の中で、わたしはそう呟いた。
*
「…え？」
「だーかーらー！何かオレに話したいこと！あるでしょ！」
学校に着くなり、俺は雅紀に呼び出された。
「…いや、別に」
「じゃあなんで水族館行かないなんて言ったの！」
「それは、」
「Aが落ち込んでるの！みんなで行くの、楽しみにしてたから！」
「早坂さんが…？」
ちょっと、心が痛む。
「…ねえ、チカちゃんとなにかあったの？」
そんな不安気な顔で見んなよ…
「…お前に関係ないだ、」
「あるよ」
…え、
「関係、あるよ」
いつになく真面目な顔の、雅紀。
「翔ちゃんは、オレの大事な友達だもん。それにAも悲しんでる。関係、あるでしょ？」
……雅紀…
「もし、ほんとに話したくないならもう聞かない。でも、ちょっとでも聞いてほしい気持ちがあるならオレ、受け止めるよ？」
「大丈夫！オレ、相談に乗るのめちゃうまいから！」
…なんかコイツ、ほんと…
「…わかったよ(笑)」
「あれは、俺が小学生のとき──」
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
