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…私のバカ！何聞いてるの！
櫻井くん、困ってた。
優しいから、気まずいのを隠して、帰る？って聞いてくれたのに。
もう、どうしたらいいの。
…諦めるしか、ないのかな
道にしゃがみ込む。溢れた涙が、止まらない。
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「やっと、見つけた」
……え、
「ごめん、帰る、とか言って」
ぎゅって、後ろから、抱きしめられて。
「もし、早坂さんが、いいなら」
「俺と一緒に、祭りに行ってくれませんか」
…櫻井くん、
「うん…行きたい」
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なんか食べる？って、たこ焼きを買いに屋台に並んだり。
射的してみよ、ってチャレンジして、なかなか当たらなくて笑ったり。
なんだか、夢を見ているみたいで。
下駄でずっと歩き続けてるから、ちょっと足が痛いな、と思っていたら
「ちょっと、休もうか」
櫻井くんが、気を使ってくれて。
座れそうな場所を見つけて、2人で並んで座る。
「雅紀、体調大丈夫かな」
「ふふ、アイスの食べすぎでお腹、壊したのかも」
「はは、ありそう(笑)」
屋台の明かりと、月の明かり。
幻想的な雰囲気の中で、櫻井くんの横顔を、盗み見る。
そういえば私、さっき
櫻井くんに、抱きしめられたんだよね…？
思い出して、身体が急に、熱くなる。
「ん？(笑)」
わ、気づかれた！
えっと、えっと、
「さ、櫻井くんって、彼女さんとか、いないの？」
ちょっと、何聞いてるの！
うん、いるよ、とか言われたらどうしよう！
立ち直れないよ！
「ごめん、やっぱ、」
「いないよ」
…え、
「彼女、いないよ」
身体が急に、落ち着いて
「…あ、そう、なんだ」
よかった…
「早坂さんは？好きな人、とか」
「え！」
あなたです！なんて、言えるわけない！
「…いるよ」
顔が見れないよ、どうしよう！
「…そう、なんだ」
櫻井くんが、呟いて。
「櫻井くんは？好きな人、とか」
心臓が、破裂しそう。
「…うん、いるよ」
え…
えっと、えっと、
「大丈夫なの…？私と、お祭りに来ても」
「早坂さんも同じじゃん(笑)大丈夫だよ」
…私の好きな人は、櫻井くん、だもん…
「それに」
「俺の恋は、多分絶望的」
笑って言う櫻井くんが、泣いているように見えた。
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作者名：＃林檎 | 作成日時：2017年8月8日 20時
