ミスターゲキカル。 (ページ42)

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やっと笑いの収まった櫻井さんが、1度座りなおすと言葉を続けた

翔「俺がにのに初めて会ったのは大学入ってからだけど、その時にはあんな感じだったよ」

常に彼女はいたけど

そこに執着心みたいな、何かを想っているようなものは一度も感じたことがない

いつもなんだか、隣に“いる”っていうよりは“ある”って感じで。

「いるじゃなくて…ある…？」

翔「なんていうのかな。いてほしいからいる存在なんじゃなくて、近くに来た子に隣においてって言われたから承諾した感じ？」

今までのにのの元カノには悪いけど

にのの傍にいた側からみると付き合ってるっていうよりは本当に置物に近かった

だから、“いる”んじゃなくて“ある”んだよって

櫻井さんはそう告げた

メグ「なんで…そんな…」

翔「さあ。俺もあんま詳しくは聞いてないし、本人も話したそうにはしてないからわざわざ聞かなくてもいいかなって」

翔「別に俺はにのと付き合ってるわけじゃないしね」

櫻井さんの言ってることが、なんだかしっくりきた

確かにあの時

リンさんを見たとき、

探しに来てくれた彼女に対して1ミリも表情が変わることはなかったし

リンさんの話をしている先輩の表情だって変わらない。

きっとあの時の先輩もそう思ってた

翔「とはいえにのにも別に心がないわけではないから、気分で別れたり傷つけるような別れ方はしてないと思うよ、」

翔「それはAちゃんもわかってるんじゃない？」

「…そう思います」

リンさんだって、あくまで向こうから話を出してきたからって言ってたし

もしあの時彼女が賭けに出なければ、今でもきっと。

翔「俺から言えることはそのまま頑張れってことくらいかな」

このまま…

そうはいっても、今の自分が何をしているか自分自身ではっきりわかっているわけでもないし

何もできていない今をこのままでいいって言われても

イマイチ自信なんて持てない

メグ「翔くんはさ、Aが諦めなければ叶うと思う？」

翔「…どうかな、それを俺が言ったら面白くないでしょ笑」

メグ「真剣に聞いてるのに」

翔「俺にはなんとなく答えが見えてるよって話笑」

メグ「なにそれ！」

翔「ふ、笑」

小さい子みたいにわんわんなんか言ってるメグを軽く流した櫻井さんは

フッと優しい目で私を見た。