ミスターゲキカル。 (ページ24)

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吸い込まれそうな瞳から目を背けて

そっと、声を絞り出す

「出て……い…です」

和「やり直しー、聞こえなかった」

「…出てほしい、って言ったら…出てくれるんですか」

和「Aちゃんがそういうなら出るよ」

「なんで…」

そんなの、変な期待しないわけがない

この間、もう調子に乗るのはやめるって決めたのに

今の私はいいことにしか考えられない

だってこんな、お前の意見に従うよ的なことされたら誰だって…

和「なんでだろうね」

「…意地悪じゃないですか、それ」

和「だって意地悪してんだもん、今」

くふふって笑う先輩が

私の顔を覗き込む

和「で？どっち？」

「……出てほしい…です」

短い攻防に負けた私は

さっさと降伏宣言をした。

和「最初っから素直に言いなさいよ笑」

「だって…」

和「友達ほったらかしてきたんでしょ？笑、戻ってあげなよ笑」

じゃあねって私の頭に左手を軽く乗せた先輩は

さっき1度上った階段を再びのぼりはじめ、

今度は止まることなく、その影は上へ消えていった

もう先輩の姿はないのに

影を追って階段を見上げたままその場から動けずにいた

少しだけ落ち着いたころに、ハッとして

食堂に戻らなければならなかったことを思い出す

やっとの思いで足を動かして歩き始めると

今度は棟の入り口に櫻井さんの姿

メグに連絡したのかなーなんて考えながら進んでいたら

数メートル手前で声をかけられた

翔「メグの友達の…」

「Aです、」

翔「あ、そうそう、ごめん俺携帯の充電切れてさ、あの子に連絡する予定だったんだけど出来ないから伝えてあげてくれないかな」

「あ、ミスターのことですか？」

翔「そうそう、よくわかったね」

「メグ、櫻井さんから連絡来るの待ってましたよ」

翔「毎日来てたもん、連絡してねって」

「すいません、なんか…笑」

翔くんに連絡するって騒いでたけどまさか本当に毎日送ってたとは…

翔「だからお願いしてもいい？」

「わかりました、でも充電したら連絡してあげてください。笑」

翔「そうするよ笑」

「ありがとうございます笑」

翔「そういえば、にのから聞いた？」

「、え？」

この人の口から出てもおかしくない人の名前なのに

いざその名前をだされると

さっき落ち着いた胸が再び高鳴る