ミスターゲキカル。 (ページ1)

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桜が舞い散る頃、入学式シーズンの世の中は少し浮かれ気味で。

この間まで緊張した面持ちだった子たちはいつの間にか学校に馴染んでいて

代わりに次の子たちがスーツ姿でソワソワしている

あの子たちもきっとすぐに学校に馴染んで数か月後には青春を謳歌するんだろう

いいな、なんか。

大学生も3年目の私たちは、授業はそんなにないのはいいものの

これから待ち受ける就活への不安と

学生が終わるという悲しさを抱きながら

残りの生活を惜しむように過ごしている

海人「なに黄昏てんの？笑」

「んー？あの子たち若いなあって」

海人「2つしか変わらないだろ」

「でもほら、みんな顔がキラキラしてる」

海人「そうだね、俺らみたいに腐った顔してない」

「失礼よそれ」

海人「まあこの年でも楽しそうに顔輝かせてるやついるけどね」

大学で知り合った海人と、校門の方を見つめる

この教室はほとんど空き教室だから私達の溜まり場みたいになっていて

暇な時はよくここでうだうだしてる

窓からは丁度校門までの道がきれいに見えて

この時期は桜並木を見渡せるから、すごく好きな景色

海人と私の視線の先の、メグ。

メグも大学になってから知り合った子でいつも一緒にいる

「メグもすごいよね」

海人「眩しい顔してんなあ」

メグの横にいるのは4年の櫻井さん

2人は同じサークルに加入してる。

櫻井さんは、去年のミスターグランプリ。

眩しいほどのきらっきらな笑顔

声をかける女の子はみんな、頬を赤く染める

2人が話している姿は、第3者からみればそういう風にしか見えないのに

2人は付き合ってるわけではなくて。

想いは、メグの一方通行

まっすぐなメグを見てると、少し、うらやましいとも思う

亮「疲れたー」

「お疲れ様」

海人「お前何してたの？」

亮「助っ人だよ、ほぼバイトだけど。メグもうすぐ終わるって」

櫻井さんはそりゃもちろんかっこいいと思うけど

メグだってミスコンに選ばれそうだったほど可愛い

いつか、メグの思いが届けばいいのになって

2人を見る度に思う

今まで私は人並の恋愛経験は積んできたつもりだけど

メグみたいに誰かを強く思ったことはない

だから、羨ましいと思う

私も、誰かにまっすぐになりたいな…

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