AddictioN -yellow- (ページ29)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:18,012 hit

29 ページ29

慧人「俺はずっと横で見てきたって何度も言ってるだろ？だから俺には分かる」

鋭いまなざしの奥には

さまざまな感情に踏みつぶされた悲しみの色が見えた気がした

彼といたときは彼といたとき。

今の人は今の人。

そう心の中でわけていたつもりでも、そううまくはいってなかったんだね

慧人「俺は心配してるだけなんだ」

振り回して振り回されて、自分の欲望は垣間見えても

そのために犠牲を作れない弱虫な私。

「･･･わかった、ごめん。これからは気を付ける」

慧人「･･･ありがとう」

そっと抱き寄せられる

この間と同じ流れになっていることに気が付いて

自分の意志の弱さに苦笑いするしかなかった

.

次の日は何事も問題なかった

久しぶりにデートらしいデートをして

付き合いたての頃に戻った気分だった

慧人「ねえ」

「ん？」

慧人「今日夜うちにきなよ、一緒にいたい」

帰り際に告げられた言葉に、思わず俯く

明日は･･･

「明日、家の片づけしたいんだ。そのうち引っ越すことになるんだし、色々整理しておきたくて」

慧人「･･･それならしょうがないか、また電話するね」

「うん。またね」

部屋の片づけはただの口実

もちろん嘘ではないよ

片付けなくちゃとは思ってた

だけど私の中でずっと決めてたの

明日はカフェに行って、二宮君とさようならするの

何回も何回もさようならに失敗したけど

今度はさようならをして線引きをする

彼に相手がいようがいまいが、私にはここまで進展した相手がいるんだよって線を引けば

きっと彼ならもう踏み込んでこない

どこまでも他人任せな醜い自分に腹が立つけど

これ以上私には何もできない

自分への信頼なんて、これっぽちもないの。

ごめんね、みんな。

謝罪の気持ちと罪悪感から逃げるように、眠りについた