AddictioN -yellow- (ページ28)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:18,019 hit

28 ページ28

しばらく黙りこんだ彼は、すぐ近くに人がいないことを確認すると

大きなため息をはきだした。

「どう、したの？」

慧人「･･･心当たりない？」

「なにが？」

慧人「ないんだ」

明らかに機嫌が悪い

私が何かしたの？

この間の連絡の件は、あれからまめに返すようにしてるし

彼が怒らないように気を付けてきた

それなのに、なぜ？

慧人「そっか、無自覚か」

まだ少し残っていた人たちが皆揃って私たちを見てる

「･･･場所変えよ、ほかの人もいるんだし」

慧人「はぐらかせばいいと思ってる？」

「そうじゃない。ちゃんと話するし聞くから。まだ仕事残ってる人もいるんだしここじゃ迷惑だよ」

また大きなため息をついた彼は私の方を見ずに、

慧人「･･･荷物とってくるから下にいて」

「わかった」

自分の部署に戻ってる間に先にロビーに向かった。

.

少し経つと彼が下りてきて。

人がいないところに行こうということで、前にも一度来た公園に移動した

以前と同じベンチに腰を下ろして遠くを見つめる。

あんなに幸せそうなカップルが目の前にいるのに

私たちは一体何をしてるんだろうね

そう思ってしまった

黙り込んだまま何も話さない彼に少しイライラして

私から話を切り出す。

「心当たりがどうとかじゃなくて、何に怒ってるのか素直に言ってほしい」

慧人「･･･男と楽しそうに話してんなあって思って」

「･･･え？」

慧人「松本と、楽しそうに話してるの見るのが嫌だった」

「･･･そんなの同期なんだし、話してて楽しいのは当然じゃない」

慧人「そうかもしれないけど。普通さ、彼氏と喧嘩した直後だったらそういうの気遣うでしょ」

それが普通なの･･･？

どうしても私にはそれが普通とは思えなかった

友達との関係に恋愛は関与させたくない

友達は友達、恋人は恋人

昔、二宮君といたときに学んだんだ

そこまで制限したらお互いに自由はなくなる

いちいち相手が異性と話していることにヤキモチ妬いたってなにもいいことはない

そう、高校生の時に知った

慧人「またその顔してる」

「え？」

慧人「俺といるときに、あいつのこと考えないでよ」

慧人「わかってるよ、Aがあの元カレ君のこと考えてる瞬間なんて」