AddictioN -yellow- (ページ26)

今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:18,022 hit

26 ページ26

そこまで考えてハッとした

戻れなくていいじゃない

第一どこに戻ろうとしてるの

戻る必要も戻る場所もないんだよ

言ってることと自分の思考が一致してないことに少しイライラする

しっかりしてよ私。

慧人「だめ･･･かな」

「･･･お試し、なんだよね」

慧人「そう、もしもっと長い時間一緒にいてみてどうしても我慢できないことがあったら言ってほしいんだ」

「そんなこと･･･」

慧人「よく考えたらさ、今回の事があるまで俺ら1回も喧嘩したことなかったし。ちょっとくらい喧嘩してもいいじゃん？笑」

ないに越したことはないけどねって自嘲気味に笑って再び歩き始める

慧人「俺はもっと一緒にいたいよ」

「慧人･･･」

慧人「どう？」

前へ。

「･･･いいと、思う」

慧人「本当！？」

「･･･うん」

慧人「よかったー笑」

つないでた手を離して両手で万歳し始める

その姿はまるで中学生。笑

「喜びっぱなしだね、今日笑」

慧人「おかげさまでね笑」

きっとこれでいいんだよ

その調子だよ

このまま私の少し前を歩いてくれてる彼の背中と

たまに振り返って笑いかけてくれる顔を見て前に進めば

いつか後ろを振り返ったときには

笑いながらそんな恋もあったねって

そんな切ない思いもしたねって話せる日がくるから

.

だけど人は、欲を満たせば満たすほどに新しい欲が生まれる生き物なの

その欲望はだんだんと心を真っ黒に染めて

気が付いたときには手遅れになってしまう

取り返しのつかなくなったところで

真っ黒に汚れた心が悲しみの青に染まってすべて洗い流される人もいれば

黒い心に思考まで支配されて人格が変わってしまう人もいる

きっと青く染まるのも黒に支配されるのも

欲をかなえようとしすぎた人に

君は幸せになりすぎだよ

苦労も知らないとだめだよって

神様がお告げをくだした証なんだよ

どうか、全てを黒に染められないで･･･

.

同棲することを決めて二日

この日最初の違和感を感じた

慧人「野上ー」

「はい」

慧人「ちょっといいか？」

「はい」

午後の仕事が始まった頃、仕事中に後ろから声をかけられて

近くの空いてる会議室に連れて行かれた