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部屋に入ると、急に慧人にもスイッチが入ったようだった
「ちょっ、待ってっ」
慧人「待てない」
「待ってっ･･･！」
慧人「･･･静かにしろよ」
部屋の入り口で靴も脱がないまま、どんどん迫ってくる彼
いつもよりはるかに乱暴で、雑で。
「や、めてって･･･っ」
何かから逃げるような、荒いキスだけが続く。
「いやっ！」
必死に抵抗してやっと彼が離れたすきに、少し距離を取った
少し息が上がった彼が獲物を捕らえるようなまなざしでこっちを見つめる
慧人「なんで？」
「なんでって･･･なんか変だよ」
慧人「そんなことないよ」
再び迫ってくる慧人に、必死に抵抗する
頬に彼の手が触れた瞬間、全身に鳥肌がたった
「やめて！」
慧人「なんだよ」
「なんだよはこっちのセリフよ」
慧人「･･･最近変だと思ったんだ」
私から少し離れた彼は部屋の奥にあったベッドに腰をかけた
慧人「数年付き合って、今までこんなにそっちから誘ってくれたことなくて。俺嬉しかったんだ、やっと俺の事見てくれてるのかなって」
胸ポケットから出した煙草に、そっと火をつける
慧人「･･･けどさっきのでやっとわかった。そうじゃなかったんだって」
「そんなことっ･･･」
慧人「俺は代役のままなんでしょ？」
こっちを見る彼の目は、何かがこぼれそうに揺らいでいた
慧人「いつになったら、俺は一番になれる？」
消えそうなくらい儚い姿を初めてみた
慧人「俺じゃ･･･だめなの？」
心が痛かった
甘えすぎてた私が悪かった
彼が何も言ってこないのをいいことに、彼の気持ちを都合よく利用して
自分の気持ちをふさぎ込んでいた
「ごめん･･･」
慧人「･･･それは何への謝罪？」
「･･･慧人の気持ち、全然考えてなかった」
調子いいやつでごめんね
このままじゃ、だめだよね
結局私が前を向かずに目をそらせてばっかりで。
でもそれじゃなにも変わってなかった
意味がなかったんだ
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作者名：風和?? | 作成日時：2019年4月30日 0時
