AddictioN -yellow- (ページ15)

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和「よっ･･･」

だけどよく見ると、その隣にいたのは紛れもなく私の同僚だった

「なんで二人が？」

和「この人翔ちゃんと高校の同級生なんだって」

潤「なんで翔君のこと知ってるの？」

松本君の一言を聞いたとき、背筋が凍った

二宮君との関係はもちろん

二宮君と再会したことも、この間飲み会にご一緒させてもらったことも

慧人には何も話してなかったから。

なんとなく、話したくなかった

私と彼の中に入ってきてほしくなかった

だから、彼が言葉を発した時に思わず遮ってしまった

「たまたま皆でいるところに会って少し話したの」

潤「あーそれで」

慧人「誰？」

少し機嫌悪そうに眉間にしわを寄せた慧人がつぶやく

和「高校の同級生の二宮です」

「あ、こちら今お付き合いしてる慧人さん」

和「どうも」

軽く会釈した慧人の瞳は、彼を捉えたままだった

沈黙が続く

だけど前みたいに心地いいものじゃなくて、息するのも辛かった

すぐにこの場を離れたかった

でもそれ以上に、彼と久しぶりに会えたことが嬉しくて

ただただ声が聞きたかった

「何してたの？」

和「皆で飲んでたの、その帰り」

「そうなんだ」

和「そっちは？仕事帰り？」

「私たちもご飯食べてたの」

和「そっか」

重いままの空気は変わらなくて

何かを察した彼は松本君を連れてこの場を後にした

慧人「世間って狭いね」

「確かに笑」

そうつぶやいた慧人は、私に一歩近づいて

突然に手を絡めてきた

「どうしたの、急に」

慧人「別に？付き合ってんだからいいでしょ」

「なによ笑」

見せびらかすように繋がれた手がすごく嫌で

どうかこれを彼に見られてませんようにって、心の底で願った

目的のお店で買い物をして外に出ると

さっきまで綺麗に見えていたはずのまん丸の月が

どんより雲の向こう側に行ってしまっていた

雨、降るのかな。

慧人「ねえ、やっぱまだ一緒にいよ」

「え？」

慧人「行くよ」

私の手を握りなおした慧人は私の方を振り返ることなく突き進む

たどり着いたのはディープな街のホテル。