居候しています【江口拓也】

#51 ページ11

「こーら、溶けてないで戻ってこーい」
「ｯわ！？」






どれくらいの時間ここに座り込んでいたんだろう。
気がつくと陽子ちゃんが後ろにたって私にチョップを落としていた。






「ご、ごめ…、」
「ふふ、いいよー。朝からイチャイチャしてるのを見させてもらったからね〜」






ご機嫌そうに笑う陽子ちゃんに何故か怖いなという感覚を覚えてしまったから、私はやっぱり拓也さんに似てきたのかもしれない。

立ち上がると2人で部屋に戻りショルダーバッグに財布、携帯、家の鍵を入れて姿見でチェック。









「…待って待って、Aちゃんお化粧しないの？」
「…色つきリップはあるよ？」









慌ててストップをかけた方を見上げゆるく首を傾げれば手で顔を隠し天を仰ぐ姿が目に入る。
…どうしたんだろ。





と、思ったのも束の間。
ばっとこっちに向き直ると私の手を取り彼女の目が光ったのを感じた。






…あっ、なんか嫌な予感がする。






なんて心のどこかで危険信号を知らせるけれど、その反面どこかワクワクした私がいる。
不思議な感覚だなとぼんやりと感じていれば目の前の彼女は口を開いた。









「今日はお買い物もそうだけど、Aちゃんにお化粧も覚えてもらってもっと可愛くなってもらいます！！」









ほらね、危険だけど楽しい事が始まる音がする。

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