たばこの香り すばる

運転 ページ12

車の鍵をあけて、運転席に座る

助手席に座ったすばるが


「運転しろゆわんねんな」


って笑う


「あたしの大切なジムコちゃん

下手な男に触らされへん」


あたしの愛車、Suzukiのジムニー


軽やけど、四駆の可愛い子


エンジンをかけて


「どこいくん？」


ってすばるに聞く


「まあ、腹へったし、飯でも食うか」


すばるがよく行くパスタの店についた


「ここか…」


さすが、友達


信ちゃんの行きつけやんか…


「すばる、殴ってええん？」


「あー、まあ、気にすんな


今日なんか、ぶっ細工な嫁と家におるわ」


そんな、言葉を真に受けて


扉を開けたんが、あかんかった


ばっちり、目あったよ


ぶっ細工な嫁、もといめっちゃ可愛い


信ちゃんの嫁と


その横で、子どもの口をふく信ちゃん


すばるが、固まるあたしの手を引いて



ジムコの鍵をあける

助手席に押し込まれ


あっさり、あたしの愛車を運転する

「俺ん家で、食お。旨いもんくわしたる」


以外にあたしの家に近いすばるの部屋


椅子に座らされ


目の前に置かれた１枚のメニュー


「どれ？キノコ以外のにしてくれよ」


にかって笑う、その顔


あたしが指さしたピザが来るまでに


ビールが渡される


「なあ」


すばるを見る


「その、すまん…悪かったな…」


グーにした手を口にあてて


あやまるすばるが、可愛くて


笑う


「なんやねん、笑うなや」


「やって、すばる、悪ないやん」


あたしは、すばるに抱きついた


「でも、ありがとう。次は泣くで」


あたしの頭を撫でて


「もう、雛の事で泣くな。腹立つ」


唇を重ねる




ピザが届く


「続きは後でやな」


玄関に取りにいくすばるの


背中にはりついて


ついていく



ひとりじゃなくて、良かった

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