そして誰もいなくなった ３

錦戸　次の犠牲者 ページ7

PM10:00


＿＿錦戸の部屋



早々にベッドに入ったんはええねんけど
こんな精神状態じゃ眠ることなんて出来るわけもなく。




「…っ」

「…は…ぁっ」




壁際ぴったりに寄せられているベッド。
そこから聞こえる…声。


隣は渋谷さんの部屋。

ひとりやなくて、男女の重なり合う声。
うせやろ？こんな状況で何してんの？





あかん。余計寝られへん。避難しよ。
ベッドから抜け出して安田さんの部屋へ。




軽くノックをするとドアが少し開いた。




安「…どしたん？」

錦「…あの…その」

安「入って？」




俺の困惑した顔を察してくれたのか
ドアを開けて部屋に招き入れてくれた。







＿＿安田の部屋




安田さんの部屋は結構散らかっていて
ソファの上のカーディガンを避けて座る。




安「…なんかあった？」

錦「いや、隣の部屋で、その…」

安「ん？」

錦「二人の喘ぎ声がして…はは…」

安「…」




安田さんは無言でタバコに火をつける。

俺も1本吸おうとポケットからタバコを出そうとした時やった。


バチン！





安「えっ！」

錦「わっ！！」





突然部屋の電気が消えた。
そして、その後すぐに聞こえた1発の銃声とガガーンと響くピアノの大きな音。





安「電気！電気つかへん！」ｶﾁｶﾁ

錦「今の音なにっ？？」

安「分からへんよ！」





俺は廊下に飛び出した。
でも廊下も真っ暗で何も見えない。

安田さんの部屋に戻り
装飾品の蝋燭にライターで火をつけて
それを頼りに二人で階段の手すりを掴みリビングへとゆっくり降りていった。






＿＿リビング



安「…！なんかおる！」

錦「えっ！」




目を凝らしてピアノの方を見ると
ピアノに突っ伏して動かない村上さんらしき人。
ベージュのジャケットからじわりと赤いシミ。





安「ちょ、見てきてくれへん？医者やろ」

錦「…ええっ」

安「頼むわ！」






恐る恐る近づくと
やはり事切れた村上さんが。
脈を取るもすでに静かに物言わない身体に。






錦「し、死んでます…銃で後ろから撃たれたみたいです」



安「ええっ！なんでや？？」



錦「分かりません…とにかく…２階に戻りましょう」


安「そ、そやな、ここじゃラチあかんし戻ろ…」






。

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