41 いつからだろう 【JK】 ページ41
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ヌナに恋に落ちた日。
俺は今でも鮮明にはっきりと思い出せる。
初めて会った時から綺麗な人だとは思っていた。
…いや、ほんとはあまりにも俺の好みドストライクで驚いたと言った方が正しいけど。
けれど俺ももう外見だけで人を好きになれるような、そんな純粋な心は残ってなくて。
15歳なんて若さでこの世界に入って、人の優しさや温かさにもたくさん触れてきたけど、それ以上に人の汚さや醜さを俺は嫌というほどによく知っていたから。
確かに少しヌナのことを気になってはいたけど、別に一目惚れをしたとかそんなんではなかった。
けれど時間が経って、だんだんヌナにメイクをしてもらう機会が増えてきてその居心地の良さに驚いたのを覚えてる。
なんだろ、馬が合うっていうんだろうか。
俺たちは趣味も好みもよく似ていたし、人との付き合い方とか、そういうものに対する考え方もよく似ていた。
大袈裟に言ってしまえば、同じ世界線で生きてる人だと思った。
それにヌナは俺たち相手に身構えたり、よく見せようと繕うようなことはしなかった。
俺たちが有名になればなるほど周りにはそんな人しかいなくなって、俺たちをただの1人の人間として見てくれる人なんてほんとに少なくなっていたから。
だからそんなヌナと一緒にいるのは楽だった。
これはヒョンたちも同じように思ってたみたい。
この時点でまあだいぶ好意を持ってはいたんだけど。
決定的だったのは、あの日。
あのコンサートの日、俺は珍しくコンディションが優れなくて、音程は外すし振りも間違えるしで、ほんと散々で。
コンサートが終わって舞台裏で1人になった時、思わず涙がこぼれた。
今日初めて俺たちのコンサートに来る人も、最後になる人もいるかもしれないのに。
そう思うとARMYに申し訳なくて。
そして、自分が情けなくて仕方なくて。
周りに誰もいない、そう思っていたのだけど。
「グク」
そう俺の名前を呼んで近づいてきたのは心配そうな顔をしたヌナで。
泣いている俺を見て、ヌナまでなぜか泣きそうな顔をしていた。
「…どうしたの?大丈夫?」
きっとヌナじゃなかったら、俺は素直にその理由は言わなかったと思う。
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mii(プロフ) - はぁ、もうね大好き (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - はじめまして。とても感動しました。グク編も読みたいです^_^ (2021年2月6日 2時) (レス) id: 283143d3e0 (このIDを非表示/違反報告)
なのか(プロフ) - 夏さん» 夏さん!コメントありがとうございますうう( ; ; )遊び人として書かれがちなテテちゃんですが、私は勝手にすごく一途な人だと思っててそれを書きたかったので、そう言ってもらえると嬉しいです…!早く続きを書けるように頑張ります(*^^*) (2020年4月8日 18時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - はじめまして^ ^お話とてもおもしろいです!グクペンですが一途に主人公を思うテテ好きです(*^^*)どっちとくっつくかドキドキします! (2020年4月8日 0時) (レス) id: 13b7e644bd (このIDを非表示/違反報告)
なのか(プロフ) - Kumiさん» Kumiさんコメントありがとうございます!これからどんどんテテのターンになっていくので是非楽しみにしててください!(笑)早くこちらの続きを書けるように頑張ります(*^^*) (2020年4月6日 3時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナノカ | 作成日時:2020年3月18日 22時