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7話 ページ8

熱風が私の周りをグルグル回り、分厚い氷の柱を溶かしていく。
ただ体の体温をあげて、身動き出来る程度に氷を溶かした


「アンタの今の言葉、一般兵と王室の者を比べる差別、それこそ我が国の恥だ」
「ッ…何を!」


こんな場所で能力を解放するわけにはいかない。
有り難いとは言い難いが、ヤツの氷のお陰で怒りで沸騰していた頭が徐々に冷めはじめる。
私は氷から自力で脱出し、Voidollや皆さんに頭を下げた。


「せっかく歓迎して頂いたのに私共の事情で台無しにしてしまい誠に申し訳ありませんでした…」


深く深く頭を下げる。


「頭をあげな、何か事情があったんだろ?」
「そうだよ!リリカ達は大丈夫だからもう頭をあげて?」


優しい女性の方々の言葉にジンとくるものを感じた。
なんて優しいんだ、せっかく用意した料理を床に落とされたのに…心の広い方ばっかりだ。


「皆さん、すみませんでした。…ソーン、私は部屋に戻るがお前はどうする?」
「え…、」


氷野郎はまだ涙目のソーンの頭を撫でながら問う。
チラリと私を見ながら。

嗚呼、そうかよ。私がまたソーンを泣かすと思ってやがるのか。


「ぼ、僕は兄様と一緒に…「いい、私が消える」


ソーンが料理に目をやっていたのも、ワクワクしながら来たってことも、あの汚れのない瞳を見ていたらわかる。
楽しみだったんだろう、こうなってしまったのは私が彼に怒りに任せて責めてしまったからだ。
大人気なかった、ヤツに当たらず幼い時の記憶がなかった少年に皮肉と嫌味を言うなんて。


「アンタの歓迎パーティーなんだぞ、主役がいなくなってどうするんだ?」


それにアンタの名前も直接聞いていない、とメガネをかけた赤ピンク色というなんとも派手な髪の男性に言われた。


「それは本当に申し訳ないです。そう言ってくれるのは大変嬉しいが、場を乱すような発言をしたのは私だから。」


私は彼にそう笑ってみんなに向き直る


「はじめまして。今日からここの配属になった、Aです。よろしく」


軽く頭を下げて私はVoidollに声をかけた。


「Voidoll、私の部屋に案内してほしいんだけど、いい?」
「ハイ、構イマセン」
「魔道士様、先程は大変失礼致しました。パーティーをお楽しみ下さい」


魔道士様に一礼してから私はVoidollと共に部屋を出た。

嗚呼、最悪だ。
なんで自国だけじゃなくこの空間でもあの兄弟と関わらなくちゃならないんだ。
っていうか待てよ、なんでここにあの兄弟がいるわけ!?

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日向(プロフ) - 骸蜘髏巍屍龍さん!お久しぶりです!と言っても最近バグ少女で知ったばかりなのですが…。今日アダム推しになったのでありがたく読ませて頂きます。 (2020年8月2日 21時) (レス) id: 378262d87d (このIDを非表示/違反報告)
骸蜘髏巍屍龍 - ネウロさん» コメントありがとうございます。このサイトで別サイトの情報をお伝えするわけにはいきません。詳しくは、大事なお知らせから「作者のこれからのこと」を読んでください。 (2020年6月6日 2時) (レス) id: 9e88b8f2ee (このIDを非表示/違反報告)
ネウロ(プロフ) - 別サイトってどこでしょうか…?!続きが見たいです!! (2020年6月6日 1時) (レス) id: f75d0817e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:骸蜘髏巍屍龍 | 作成日時:2020年5月12日 15時

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