16話 ページ17
「おいおい、はじめましても無しかよ、お嬢ちゃん」
嗚呼、もう…神様はなんて意地悪なんだ。
どれだけ私をいじめたら気がすむ?!
「……A、スプリンターです。よろしく」
氷野郎を視界に入れないように黒い彼に手短に自己消化する。
もういいでしょ、と肩に回されていた腕を解こうとすると更に強く絞められた。
「……自己紹介はしたはずだけど。」
「いやいや、違うぜお嬢ちゃん。俺の自己紹介がまだ終わってないだろ?」
サーティーンだ、よろしく頼むぜ!と黒いマスクから紅い瞳をチラつかせて私に手を差し出す。
拒んだらまた厄介なことになり兼ねないな…、握っとくか。
素直に手を握ると、お!僕チャン素直な子だぁいすき。と満面の笑みで彼は言う。
その私に向ける彼の笑顔が上っ面だけの笑っていない笑顔で、まるで鏡のように映った自分を見ているようで気持ち悪かった。
昔からずっと心から笑ったことなんてなかった。
いつからだっただろう…ちゃんと心のそこから笑えなくなったのは。
いつからだろう…ただ表情筋を上げるという作業で済ませていたのは。
上官に褒められても、面白いものを観ても、仲間と夜中にはしゃいでも、心にポッカリと穴が開いたままだった。
「……貴方の笑顔、気持ち悪いや」
「!」
サーティーンと同じように偽物の笑顔を向け、そう言うと彼の赤い瞳がよく見えた。
いつまでも私の手を握って固まっている彼の手を解いて私は再び廊下を歩き出す。
私達の会話を聞きながら、氷野郎がどんな目で私を見ていたかなんて知らない、知りたくもない…気持ち悪い。
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日向(プロフ) - 骸蜘髏巍屍龍さん!お久しぶりです!と言っても最近バグ少女で知ったばかりなのですが…。今日アダム推しになったのでありがたく読ませて頂きます。 (2020年8月2日 21時) (レス) id: 378262d87d (このIDを非表示/違反報告)
骸蜘髏巍屍龍 - ネウロさん» コメントありがとうございます。このサイトで別サイトの情報をお伝えするわけにはいきません。詳しくは、大事なお知らせから「作者のこれからのこと」を読んでください。 (2020年6月6日 2時) (レス) id: 9e88b8f2ee (このIDを非表示/違反報告)
ネウロ(プロフ) - 別サイトってどこでしょうか…?!続きが見たいです!! (2020年6月6日 1時) (レス) id: f75d0817e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:骸蜘髏巍屍龍 | 作成日時:2020年5月12日 15時