1話 ページ2
私はとある氷雪の国の一般兵だ。
女といっても能力が重宝され、こうやって前線で敵をなぎ倒している。
普通の人間は寒さで手などなかなか思うように動かせないが私は違う…
火属性というこの国では変わった属性の持ち主であった為、身体の温度を一定の温度に保ち戦いに挑むことができた。
そして今日も何気ない、特に変わった様子もなく前線を押し進んでいた。
ほんと、何にもない、つまらない、そんな雪山の任務だった。
「おい、足元 気をつけろ！」
「あーい」
仲間の声も適当に返事をしてやり過ごす。
あー、つまらない…
極寒のこの地で手袋をしていないのは私ぐらいだろう。
少し赤くなった自身の手を見つめる。
その時ふと思い出したのは、色素の薄い銀髪の兄弟。
今は届くことがない、一般兵である私には到底足を踏み入れることが出来ない王宮に住む2人の兄弟。
幼きユーリエフ兄弟の顔が脳内に蘇った。
「…っ、は…、ばかばかし…」
かき消すように手のひらを下げる。
そういえば最近あの兄弟が行方を眩ました、と噂されていた。
兄のアダム=ユーリエフ騎士団長の戦闘力はやっぱり凄かったみたい、彼がいなくなってから我が国の軍事力が著しく低下しつつある。
弟のソーン=ユーリエフも王宮の魔術士であり我が国の切り札とも言える『グラナート』の宿主。
この2人がいなくなったことは何が何でも秘密にしなければいけないらしい。
軍事力が低下していると他国に知られてしまうと集中攻撃され兼ねない。
上の上司はそう言っていた
「…い___おい…___！！A！！」
「へ…？」
久しぶりに嫌なことを思い出して足元をしっかり見ていなかった。
今までこんなことなかったのに。
私の踏み入れた場所、前に体重をかけた瞬間、崩れ落ちる足元。
私はクレバスに転落した。
浮き上がる臓器、下を見ると真っ暗な穴が私を逃がさないとばかりに口を大きく開いて待ち構えていた
「ヒッ…、たす…け…ッ」
私の声は掠れていた。
私は馬鹿だ、簡単な任務だとしてもちゃんと足元を意識していれば！
いや、違う…あの兄弟のことなんて思い出さなければ！
仲間が私をなんとか掴もうと手を伸ばすが空を切る。
私は深く大きなクレバスに落ちていった。
思うのはあの兄弟のこと。
最後の最後まで私の頭を支配するのか貴様らは。
「く、そ……まだ、届いてない、のに…」
私の意識はここでおしまい。
浮き上がる臓器に不快感を覚えながら私は意識を手放した。
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日向(プロフ) - 骸蜘髏巍屍龍さん！お久しぶりです！と言っても最近バグ少女で知ったばかりなのですが…。今日アダム推しになったのでありがたく読ませて頂きます。 (2020年8月2日 21時) (
レス) id: 378262d87d (このIDを非表示/違反報告)
骸蜘髏巍屍龍 - ネウロさん» コメントありがとうございます。このサイトで別サイトの情報をお伝えするわけにはいきません。詳しくは、大事なお知らせから「作者のこれからのこと」を読んでください。 (2020年6月6日 2時) (レス) id: 9e88b8f2ee (このIDを非表示/違反報告)
ネウロ(プロフ) - 別サイトってどこでしょうか…？！続きが見たいです！！ (2020年6月6日 1時) (レス) id: f75d0817e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：骸蜘髏巍屍龍 | 作成日時：2020年5月12日 15時
