約束⑥【ヒロアカ】 (ページ44)

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約束258個目ページ44

震える声で話しかけてくるリリア

「早くこっちに来てよ

私はAちゃんの敵(てき)じゃなくて味方だよ？」
「違う」

リリアの言葉を即座に遮る

これ以上、リリアの話を聞いてはいけない

……聞きたくない

「私が雄英生徒(ヒーロー見習い)で貴方が敵(ヴィラン)なら、敵(てき)だ」

リリアに、自分にそう言い聞かせる

ふわりと夜風が私たちを通り過ぎる

それが合図でもあった

「走るぞ美水ちゃん！！」

「は、はい！」

リリアが……敵が動揺してる間に背を向けて美水ちゃんの手を引いて走る

しかし敵も2拍ほど間を置いて追いかけてきた

「とりあえず道に出よう
こんなけ隠れるスペースあったら不意に目が合うかもしれない
他の生徒とも合流できるだろうし……でも銃で狙撃されるかも」

「あの、風使さん」

「ん？」

「あの敵とは、どういう関係なんですか？」

決して歩調を緩めず、しかし手を強く握って問いかけられる

私は美水ちゃんの顔を見ず、前だけ見据えて答えた

「……大好きでたいせつな人」

そう、大好きなんだ

たいせつな、愛おしいひと

リリアは私のことどうだとか周りの反応がこうだとか考えても、結局それが答えなのだ

きっと、彼女が何をしようとも私がどれだけ嫌おうとしても話が通じずとも敵であろうとも、嫌えない

だって、好きだから

だからこそ彼女と決別しなくては

軽く深呼吸をしてから、驚いてるのだろう黙りこんでる美水ちゃんに話しかける

「……安心してよ、公私混同はしないようにするから

それより道ってこっち」

だよな、そう続くはずだったそれは破裂音によってかき消された

パアン！！

「Aちゃんを返して！！」

「っあああああ！！！！」

「風使さん！？」