【完結】[ﾂｲｽﾃ]人魚姫は魔女に恋焦がれⅡ-Azul- (ページ23)

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あれから時は経ち日が傾き始めた頃

アズール｢少し用事を済ませてくるから此処で待ってて｣

アズールくんにそう言われ噴水近くのベンチに
腰をかけ本を読んでいた
アズールくんが掛けてくれた認識阻害の魔法のおかげで
私は傍から見ればどこにでも居る普通の女の子
Aとして認識されることはまず無くなっていた

『(用事ってどうしたんだろう？)』

モストロラウンジの備品関連だろうか
けどそれなら私がついていっても問題ないし
裏ごとかな？
あまり深く考えない方が得策だろうなと思いながら
過ぎ去る秒針に目を落としていた時だった

？｢あれ、A？｣

声をかけられ顔を上げると
私服に身を包んだ姉達と同級生と思われる数人の
男女の生徒が立っていた
そしてそこにはあの馬鹿王子の顔も

姉3｢本当だ！Aじゃないか！奇遇だね｣

姉2｢1人で買い物ですか？｣

『姉様方……ご機嫌よう』

姉1｢ふふ…父様がいらっしゃらないのだから
そんなに固くならないでくださいな｣

姉4｢そぅそぅ、ねぇAこの後時間あるかしら？
一緒に夕飯でも食べましょうよぉ～｣

『……ごめんなさい、人を待っているんです』

姉達の連れの視線が痛い
ヒソヒソと話されることは私の事だろう

フィリップ｢驚いたな、誰かと思えば第5王女のA様じゃないか。反逆の双子と海の魔女は元気かい？｣

『……』

フィリップ｢(ｸｽ)挨拶もなしか。随分釣れないが…
うん。美しい…｣

『は？』

思わず本音が漏れる
ズカズカと距離を縮め私の顔を持ち上げたそいつは
数年経った今でも傲慢な様子で

フィリップ｢見違えたよ、今の君になら喜んで求婚を受けようじゃないか。どうだい？過去の事は全て水に流して｣

『良くもぬけぬけとそんな口が叩けますね』

馴れ馴れしい手を迷わず振り払うと
空気の温度が一気に下がった
あぁ、コイツらフィリップ王子の腰巾着か

『生憎、私には恋人がいますので…』

姉1｢ッ……｣

姉4｢まさかまだあのダメ蛸と…｣

『だったらなんですか？私はもう姫じゃない
誰と恋をして、誰と結ばれようが…関係ない』

フィリップ｢は…ははは！なんて事だ。
麗しの姫君は呪いに蝕まれたか、あぁ
だがヴィランから姫君を救うのも僕の役目だ
さぁ、信じておいで？｣

『貴方がその高慢で最低な全て捨てて
生まれ変わったなら考えますよ』

そう言い捨て席を立ち
その場を離れようとした
アズールくんにはマジカメで伝えればいい
なのにすれ違いざまに姉様に手を掴まれる