プレプロポーズ【登坂広臣】2

こんなに幸せなんて ページ10

Aside







広臣「……泣くなよ、笑」








そう言って笑う登坂さん。







わたしだってなんで泣いてるのか分かんなくて、


でもきっと、これは嬉し涙なの。






前にもあった。




嬉しくって、涙が出たこと。









……そうだ、




あのときも、




あのとき泣いた理由も…









A「……登坂さんだ…っ…」









気づいたら、抱きしめられてた。








安心する登坂さんの香りに包まれながら、


子どもみたいに泣きじゃくる。









広臣「もう、なんで泣いてんの？」








耳元でそう聞かれて…









A「……わたし、も…登坂さん…、が……」









気持ち伝えなきゃ、思うのに


泣いてるせいでうまく言えない。






そんな私を見越して、

とんとんって、背中叩いてくれる。







……やっぱり、登坂さんじゃなきゃ…








この先も登坂さんじゃなきゃ、



嬉し涙なんて流せない。








．









A「……わたしも、登坂さんがすきです。」









やっと、言えた。






ずっと言いたくて、でも


だめだよって 自分に言い聞かせてた気持ち。









広臣「……ほんとに？………すげー嬉しい。」









もっと強く、抱きしめてくれる。









心から愛されるのが


誰かに必要とされるのが









こんなに幸せなんて、知らなかった。









広臣「……Aちゃん？」









名前を呼ばれて、少し体を離す。







涙でぐちゃぐちゃなわたしの顔見て、

またちょっと、微笑んだ。









A「……わらないで…っください…」









また、しゃくり上げちゃう。



…恥ずかしいな。もう。









広臣「ふふ、………ねえ、」









そのままの優しい顔で、


わたしの眼帯に手を伸ばし、それを外す。









広臣「………ちゃんと、俺のこと見て？」









そう言われ


両目でしっかり、登坂さんを見つめた。









目に入ってくる登坂さんの全部が、



素敵で

だいすきで




大切なの。







．









広臣「………だいすきだよ、」









そっと触れた唇。









こんな暖かさを感じるのは






きっと



この先も登坂さんなら安心できるって






信じられるから。

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